炎立つ

大河ドラマ『炎立つ』を観る -第18話-

基本的にドラマの主人公ってやつは、そういうコンセプトで無い限り、悪く描かれることはありません。『炎立つ 第2部』の主人公清衡は、父親・一族もろとも殺され、母親を敵の頭領に奪い取られ、自身も敵の養子にさせられ不遇の幼年期を送った・・・などなど、その生い立ちだけでも十分に視聴者の同情を買っています。加えて主役の村上弘明様の人当たりの良く、誠実でジェントルマンないでたち(若干ファン目線入ってますcoldsweats01)に悪い印象を覚える人はあまりいないでしょう。なのでたとえお家再興の為、義兄や異父弟を殺す事になったとしても、あの兄弟の性格の悪さも鑑みれば『まぁ、しゃ~ないか』となんとなく目をつぶってしまえる・・・・ドラマも終盤にさしかかり、主人公の正当性のお膳立てがきっちり整った万全の状態になっています。

普通だったらこのまま復讐劇を開始させてなんら問題はないはずです。ところがこのドラマのすごいところは、主人公をただの「良い人」に終わらせないところです。人間が誰しも抱える『闇』の部分。正義感溢れる爽やかな人物であった源義家が悪役の顔を見せるようになったように、主人公清衡もまた『闇』を抱く人物であった・・・・・今回はそんな品行方正な清衡が初めて見せた『黒い葛藤』に注目して頂きたい第18話です。

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第18話  -兄と弟-

内裏より奥六郡を兄弟2人で分割統治せよ、と命じられて早や3年。清衡(村上弘明)も家衡(豊川悦司)も各々の領地をつつがなく治め、奥六郡は穏やかな日々が続いています。ある日、清衡(村上弘明)は陸奥国司源義家(佐藤浩市)に呼ばれ、胆沢城に出向きます。一通り世間話をしたあと、義家は「最近家衡はどうよ?」と切り出したのです。表面上は兄弟の分割統治で落ち着いている奥六郡ですが、家衡側は未だに清衡に有利な統治条件に不満を抱いていました。事あるごとに難癖を付け、国府に訴え出ていたのです。義家も度重なる家衡のクレームに嫌気がさしているようで「どうだろう?家衡を清衡殿の館で預かっては?」と提案します。このまま家衡を野放しにしておくといつまた内乱となるかわかりません。それならばいっそ兄弟で同居すれば腹を割って話も出来るかもしれないし、監視も出来ます。とはいうもののこれはちょっと無茶苦茶なお話です。一澤帆布の兄弟を同居させるようなものです(←わかるかなこのネタcoldsweats01)清衡が困惑する理由はそれだけではありません。実は清衡には既に厄介な御仁を抱えていたのです。それは義兄である先だっての内紛で憤死した清原真衡(萩原流行)の夫婦養子、清原成衡(米山望文)とその妻岐己(高橋かおり)です。前回、義家に「客人としてもうしばらく預かってくれ」と言われたっきり、そのまま2人は清衡の館に留め置かれたままになっていました。その間、成衡は疱瘡をわずらい、そのせいで顔にもあばたが残り、すっかり自暴自棄になって誰彼かまわず当り散らすようになってしまいました。清衡はじめ館の者皆、この成衡の処置には頭を痛めており、そこに更に家衡が投入されるとなると館は「バルカンの火薬庫」よろしくたちまち大戦勃発となる危険性大です。というか義家お前早く妹夫婦引き取れよ!もうしばらくってどんだけ世話させるねん?wobblyどんだけ清衡に精神的苦痛を与えれば済む訳?何?そういうのが好きなの?Sなの?やめてよそういうプレイは専門店でやって頂戴sign01

義家のSっ気攻撃に内心ウンザリしてるであろう清衡ですが、結局国司の命なので拒否ることは出来ません。館に帰ってみると案の定、成衡は酒に酔って暴れていました。奥さんの貴梨(坂本冬美)はいっつもにこやかでとっても人の良い出来た人なんですが、さすがに家衡との同居には難色を示しました。どうにかならないんでしょうか・・・・と言いますがどうにもなりません。女王様(義家)の言う事は絶・対sign03なんです。「こうなっては家衡の恨みも憎しみも受けてたつほかなかろう・・・」清衡も覚悟を決めるほかありませんでした。誰かホントに清衡を助けてあげてくださいweep

数日後、紫波から母親の結有(古手川裕子)がやってきました。結有は今回の家衡の処遇を不憫がり、一緒についてってしまったのです。家衡の身柄が清衡に預けられることを知って、事情を聞きに来たというところでしょうか。

着いて早々、「どういうことなの?」と食ってかかる母親に対し、清衡は義家の真の狙いを指摘します。家衡が清衡に預けられることになれば、必ず家衡を支持する出羽の清原武衡(渋谷天外)や吉彦秀武(蟹江敬三)が挙兵するはずであり、義家はそれを契機に一気に出羽を平定させようと目論んでいるのです。家衡の更迭はその布石です。さて、こうなると否が応でも家衡vs清衡のバトルとなるのは目に見えて予想される事で、清衡としても今日こそは母に覚悟を決めさせねばならないと逆に結有に食ってかかります。

「手前がこれまで清原一族の中でないがしろにされながらも、耐えに耐えてきたのは、ひとえに清原を滅ぼすためでございます。母上とて十分それは承知のはず、いや、母上こそが手前に清原を滅ぼせと・・・。安倍の仇、父経清の無念を晴らせと涙ながらに仰せられた。もしお忘れならば思い出してさしあげまする!」

「よい!言わずともよい・・・・・。」清衡の追求を遮り、先程の威勢の良さは影を潜め、みるみる内に崩れ落ちていく結有の姿に「母上はまだお覚悟が出来ぬと見える・・・・。」と自嘲ぎみに呟く清衡。ならばお前は覚悟が出来ているの?妻子を犠牲にすることになっても耐えられると言うの?と詰め寄る結有に、清衡は答えます。

「清原を滅ぼすことが出来るのなら、父上の無念を晴らすことが出来るのならばそれでもかまわない・・・・・!!」

ここに来て清衡の言動に今までの優等生然としたものとは違う、執念が成せる凄味を感じるようになりました。対して結有はまだ気持ちが揺れているようです。「もう覚悟決めろよ!」なんて声が聞えてきそうですが、ここまで来ても迷っているのは、それだけ彼女にとってこの決断が耐えがたいことであることがわかります。私は十分に同情できました。それだけ辛いことをすぐ決断してしまう方がどうかしてると思います。長いスパンで人物の感情の揺れ動きを表現できるのが大河の素晴らしいとこなのですから、これだけ引っ張るって事に対してその思いの深さを視聴者は読み取らんとイカンですよ。こういうとこを「いつまでも引っ張っててウザい」なんて学のないこと言っちゃう人がいるから最近の大河は1話完結型になっちゃうんですよね。

ちょいと脱線しました。そんなこんなで結局結有の決意は固まらず、「私が騒ぎが起こらぬよう、監視しますから」と言って紫波に帰っていき、入れ替わるように家衡がついに清衡の元にやってまいりました。のっけからバズーカ砲でも撃ち出すかと思いきや、家衡は「しばらく厄介になります」と折り目正しく挨拶し、冗談なんかも言ったりしてえらく低姿勢です。同居を危ぶんでいた奥様の貴梨も元来根がとっても良い人なので、それを見て安心したのか「今日はご馳走にしましょう!」なんて言ってにこやかにもてなします。更に先に清衡家に厄介になっている成衡も家衡を「家衡殿ならなんでも腹を割って話せるぞ」とえらく気に入ってくれたようで、同居生活も出だしはまずまず順調な気配。しかし巷ではキレたナイフと言われている(あ、それは出川哲っちゃんのことかsweat01)家衡です。このままずっと仲良しこよしで同居できるもんでしょうか?観ている方も超不安sweat02です。

不安は的中です。それから半年後のある日の夜、家衡はすっかり仲良くなった成衡に「清衡やっちまおうと思うんだけど協力して」と打ち明けます。江刺では稲の収穫がそろそろ終わりを迎え、あとは年貢を胆沢に運ぶだけとなります。その胆沢に向う荷駄の列をを家衡の家臣の千任(織本順吉)が襲撃するというのです。急を聞きつけた清衡は手勢を引き連れて救援に向うはず。そうなると館は空っぽ。家衡は病気と偽って館に残り、清衡が救援に向った隙に紫波に残した兵を館に入れ、占領すれば清衡は帰る場所を失います。更に館に残る清衡の妻子を人質にとれば清衡は必ず妻子を助けに来るはず。そこを討ち取ろうという策です。妻子を人質に取る役目を頼まれた成衡は流石に事の重大さに慄きますが、協力することをOKします。「今度こそ完膚なきまでに叩き潰してやる!」と息巻く家衡。しかし、この策謀は折りしも清衡の侍女の柾(洞口依子)によって偶然にも聞きつけられていました。柾は慌ててこのことを清衡告げます。「そうか・・・・胆沢に運ぶ荷駄を襲うとは・・・考えたものじゃな・・・・・・。」清衡は家衡が必ず事を起こすであろうと踏んでいたようです。意外と冷静に話を聞く姿を見ると、もうなんだか兄弟の絆なんてのはこの2人には存在しないんじゃないかと思ってしまいます。

家衡の陰謀が露見して数日後、ある日家衡は清衡を誘って囲碁に興じます。碁盤を挟んで久しぶりに対面する兄弟。「お前の(囲碁の)手は昔と違って邪道になったな」と清衡。「兄者こそ読みづらい。この石は何のための石でござろう・・・兄者と同じく複雑怪奇・・・・.」と互いに腹の内を探るような台詞のかけ合いに観てるこっちはハラハラですbearingそれからふと家衡は昔、川で溺れた時に兄者に助けられた事があった・・・と思い出話をしはじめました。自分が死ぬかもしれないというときに兄者の腕が自分を捕まえてくれた・・・力強い腕と自分を背負う大きな背中が、幼心になんと頼り甲斐のある兄なのだと思った・・・・としみじみ語るうちに感傷的になったのか急に碁盤をぐちゃぐちゃにして泣き出してしまったのです。それを見て清衡も良心の呵責を感じたのか、悲しいとも苦しいともつかない顔で家衡を見つめます。しばしの沈黙の後、ぐちゃぐちゃになった碁盤を指差し「俺の方が勝ってたのに・・・」「いや、手前の方が勝っていました」と冗談を言い合い、どちらからともなく笑い出してしまいました。お互いまだ肉親への情愛が1ミクロだけでも残っていたのね・・・このシーンはなんだかグッと来てしまいましたweep

さて、兄弟が笑いあっているところに母の結有が訪ねてきました。兄弟が仲良くしている姿に嬉しそうに目を細める結有を、清衡は「母上、ちょっと・・・」と言って彼女を連れて席を立って行ってしまいました。1人残された家衡。兄と母の後姿をしばらく目で追った後、ゆっくり庭を振り返ります。そして完全にカメラ目線になったところで一言放ちます。

 「ぶっ殺す!!!」

うえぇぇぇぇぇぇぇ?さっき碁盤グッチャにして泣いたのはなんだったのぉ?あれ嘘泣きってこと??もう何なの!さっき私がグッとなったあの「グッと」を返してぇ!

別室に案内された結有はそこで清衡から家衡の恐るべき陰謀を知らされます。家衡がそこまでするとは結有も思わなかったのか絶句してしまいます。「お前はどうするつもりなの?」と聞く結有に「手前は絶対に殺されません。母上に手前の覚悟を見せてごらんにいれまする」と強く宣言します。結有はまだ戸惑っています。血の繋がった兄弟なのです。兄弟で殺しあうの?さっきあんなに楽しそうにしてたじゃない?ここまで来ても尚もまだ争いを止めようとする結有に向かい、清衡はその望みを打ち砕く衝撃的な発言をします。

家衡は先ほど川で溺れた自分を清衡が助けたと言っていたが、事実は違う。本当は溺れた家衡をしばらく助けずに放っておいた、人が来たから助けたのだと。家衡が溺れているのを見て「死ねばいい」と思っていた、と。自分はそういう男なのだ、それを教えてくれたのは母上です。

あんまりにも強烈な清衡ダークサイド発言に結有だけでなく、観てる私もひきつけを起こしてしまいそうです。「お前は・・・・鬼じゃ」実の母からの酷い言われ様にも清衡はもう動揺する事はありません。

「やってやる・・・家衡ともども、清原一族を必ず滅ぼしてやる!」

長い間、胸の奥の奥でくすぶり続けた復讐の炎が今、確かな火種となって清衡の内を赤く強く燃え滾らせていました。

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最後の10分くらいの清衡と家衡、結有のやりとりはもうシェイクスピア悲劇並みのすさまじいシーンで正直私はTVの前で悲鳴をあげておりました。ここまで主人公に毒を吐かせたドラマってあんまり無いよなぁ・・・・いやぁスゴイ!ただただ脱帽です。第2部は笑いもほんわかするシーンもほぼ皆無で、もう底なしに暗い!ここまでダークだと逆にこの暗さが病み付きになっちゃうくらいですね、てか私はもうかなり病み付きですheart04

古今東西様々な兄弟の確執があり、大河でも有名どこでは『独眼竜政宗』の政宗と小次郎、『太平記』の尊氏と直義なんかがありますが、2つともやむにやまれぬ事情があって起こっただけで、兄弟間の仲はそれほど悪く描かれていませんでした(それが逆に悲劇性を増していたのですが・・・・)。でも清衡と家衡の仲って最初からもう破綻しているんですね。結局「清原一族として」とか「結有が産んだ子」とか条件付きだったからこそなんとか繋がっていた兄弟だったんだなぁとドラマ見ていて思いました。そこに「利害」がからんだらアッというまに壊れてしまう、それくらい薄っす~い仲だったんですね。「ただ単に血が繋がっているだけ」ていうことがこれほど空しい事だとは思わなかった・・・・・sweat02育った環境が環境だからこうなってしまうのはしょうがないことだけど、あんまり希望が無さ過ぎてやりきれないですねweep改めて清衡の背負った業の深さを思い知らされて涙が出てきてしまいます。こんな人生耐えられないぜcrying

第2部は私が村上ファンということもあってか、第1部よりもレビューが細かく、長くなってきちゃって読むのも皆さん大変だと思います。ごめんなさいsweat01私も書くの大変で困ってますcoldsweats01ただこのドラマへの『愛』だけはやたら詰めこんでいるので、それに関しては直江兼続に負けてないです(笑)

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大河ドラマ『炎立つ』を観る-第17話-

悪役キャラとして燦然とその個性を奥州に撒き散らした清原真衡ですが、残念ながら今回でお別れとなってしまいました。

演じた萩原流行さんは『独眼竜政宗』では、布施定時という政宗の家臣を演じますが、その時はそれほど目立ったご活躍はありませんでした。役柄がそのアクの強いお顔立ちに似合わず、クセの無い清しい男前キャラだったからもあるでしょう。『炎立つ』の萩原さんは御本人もノリに乗っていたのか、その個性を存分に発揮させ、見事毒々しい悪役を演じきり、視聴者の脳裏に強烈なインパクトを残しました。そんな名悪役がまた1人、舞台から去っていってしまうのはなんとも寂しいものです。が、彼が死んでくれないと清衡が表舞台に出て来れませんので、ここは悪役の宿命としてその生涯を閉じていただきましょうcoldsweats01 さて、一体どんな形で真衡は死んでしまうのでしょうか?そして彼の死と入れ替わるようにして、ある人物が「悪役の顔」を見せるようになるのです。様々な人物の思惑が交差する第17話、いよいよ物語はラストスパートに向って駆け出します!

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第17話 -清原分断の罠-

前回、偽装襲撃を画策し、見事国司源義家軍の参戦を促せた真衡(萩原流行)。公権力の後ろ盾を得た真衡軍は劣勢を挽回。一挙に勢いを吹き返します。一方、家衡・清衡連合軍は逆に「逆賊」の汚名を着せられ、一気に不利な状況に陥ってしまいました。しかも真衡はこの偽装襲撃に際し、清衡(村上弘明)と家衡(豊川悦司)に偽の手紙をしたため、自分の館に向けて兵を出させ、さも彼らによって襲撃されたように演出したのです。う~む、本当に敵ながらあっぱれな策略です。誰かさんにも見習って欲しいものですな。十重二十重の策謀にさすがの清衡も舌を巻きます。兄弟2人の前に立ちふさがる真衡の壁はかなり厚いようです。

同じ頃、強引に参戦させられた源義家(佐藤浩市)もまた、まんまと真衡に嵌められたことに、はらわたが煮えくりかえるような思いでいます。事情を聞きにきた乙那(寺田稔、この人どこにでも出没するのねcoldsweats01恐ろしい人sweat01)に、「こんな事だったら経清殿を生かしておくんだった。俺は経清殿の子である清衡殿にこの奥六郡を治めて欲しいのだ。それなのになんで真衡の味方なんかせにゃならんのだ!くっそ~annoy」と真情を吐露します。なんだかよくわからないのですが、義家はえらく清衡を買ってくれています。それを聞いた乙那は大感激です。「清衡がその言葉を聞けばきっと喜ぶでしょう」と、同時に「でもこのままでは清衡は賊軍として殺されちゃうけど・・・・」そう懸念する傍で「いや、策はある!」と強い声で断じる義家。その決意の表情に、そこはかとなく黒~い影が見え隠れしたのはなんなんでしょうか?

形勢が逆転した事で戦は膠着状態に入りました。清衡と家衡もとりあえず自分の館に戻って様子見です。なんせ真衡は国府を味方につけてしまいましたので、下手に動くと完全に「賊軍」扱いにされてしまいます。真衡は出羽にて依然吉彦秀武(蟹江敬三)と臨戦中ですが、敵方の兵がぞくぞくと降伏しているらしく、勝利の女神は真衡に微笑みそうな按配です。これはかなりまずいです。とはいってもうかつに兵も出せないので、しょうがないから人質として江刺の館で保護している清原成衡と遠乗りなんかして気晴らしする清衡。と、そこになんととんでもない知らせが届くのです。

「真衡が陣中で病死しました」

えぇぇぇえええ!なんですとぉ!!?・・・と清衡もうビックリ仰天です。あの真衡がなんの前触れも無く病死です。母の結有(古手川裕子)は「天罰が下ったのよ、ざまぁみろ!ホホホ」なんて無邪気に喜びますが、清衡は腑に落ちません。密かに家臣にその死因を探らせます。その後、清衡の元に、源義家から和議の打診がありました。当事者である真衡が死んだ以上、合戦も意味がありません。義家側からの和議の提案は「逆賊」になりかけている清衡としては大変ありがたいものです。清衡はこの提案を受け入れますが、問題は弟の家衡です。胆沢の家衡館に赴くと、そこには吉彦秀武や清原武衡の2人の親族が来ていました。2人とも真衡が死んだ以上、次の頭領は家衡だと完全に確信しているようで早速ご機嫌伺いに参ったというわけです。2人とも出羽にいたのに頑張りますねぇ。彼ら2人を交えて清衡は家衡に義家の言葉を伝え、和議を受け入れるよう、強く勧めます。しかし、家衡は義家を警戒していて、中々和議を受け入れようとはしません。「俺はあの義家になんか嫌われてるから、和議なんてしたら何されるかわからん!」2人の大叔父も義家が清原一族の内紛に介入してくる事を快く思っていません。「こうなったら義家とも合戦に及んでやる!」と意気盛ん。しかしそれを清衡は止めます。

「義家と戦えば朝廷を敵に回すことになる。国府との戦は絶対に長引く。安倍は10年も国府と戦い、その結果一族もろとも滅ぼされた。清原も安倍のようになってもいいのか?」

安倍の血を引く清衡のこの台詞はかなり説得力がありました。大叔父2人は沈黙。更に家衡に「和議は母上も望んでいることだ。俺も一緒に謝るから」と母親を持ち出してきて、家衡も「母上」という言葉には敏感に反応します。「母上が言ってるんだったら・・・・」としぶしぶながらもようやく、和議を受け入れることを飲んだのでした。

数日後、胆沢城にて義家と面会した清衡・家衡兄弟は平身低頭、義家に謝罪します。義家も2人の従順な態度を認め、「内裏の沙汰がどうなるかわからないけど、良いように取り計らうから心配すんな。」とかなり好意的な配慮を見せてくれます。ただ、家衡は合戦の際に国庫である田んぼを焼き払った経緯があり、それについてはなんらかのペナルティ(来年だけ年貢倍増とか)があるかもしれんけどね、と言い足します。が、最悪の場合は朝敵として成敗されるかもしれないところだったのでそれくらいのペナルティで済むなら安いものです。兄弟は上々の首尾にホッと胸をなでおろします。義家は更に清衡に対して、保護している妹の岐己(高橋かおり)の無事を尋ね、どういうわけか『もうしばらく夫婦2人を預かってくれ。ただし人質じゃなく客人としてね』と妙なお願いをしてこの場はお開きとなりました。

内裏からの正式な沙汰がでるまでとりあえず今まで通りの生活が続きます。その間、清衡の家臣が真衡の死因について幾つか情報を携えて帰ってきました。家臣の調べによると、真衡は病死ということでしたが、実は死んだ直後の真衡を見た人は誰もおらず、しかもその葬式は身内だけでごくごく質素に行われたというのです。陣中の事とはいえ、仮にも「鎮守府将軍」の肩書きを持つ真衡の葬式がまるで人目を忍ぶようにひっそりと行われたというのは不思議な話です。更に、葬式の際に、侍女の村岡(李麗仙)が偶然にも棺の中を覗いており、なんと病死であるはずの真衡の額にはくっきりと『斬られた跡』があったとか。内密に行われた葬儀・病死なのに切り傷、ここまで揃うと怪しさ満点。何かあったに違いない・・・・清衡はそう考えますが、事の真相までには至りません。

にわかに火サスじみてきたところで、大叔父の乙那が江刺の館にやってきます。乙那は義家からの伝言を言付かっており、それはなんと真衡変死に関するものでした。実は真衡は源義家によって殺されたとのこと。義家は真衡の陣中に刺客を差し向け、彼を暗殺したというのです!『策はある』ってこのことでしたか・・・。まだるっこしい策略を使わず『力技』に及ぶあたりが義家っぽいですね。この真衡の憤死のシーンは回想シーンぽくつづられてましたが、これがほんとにホラーのようで、『炎立つ』はいつから『リング』に趣旨替えしたんでしょうか(笑)赤子がひきつけを起こすんじゃないかと心配しちゃうくらい、あまりにも恐ろしい真衡の最期でございました。

真衡暗殺に驚く清衡に対し、乙那は更に義家の言葉を伝えます。曰く、

真衡を暗殺したのは実は貴方のためなんです。私はゆくゆくは清衡殿に奥六郡を治めてもらいたいと思っています!そこんとこよろしくねheart04

というものです。ひぇぇぇっshockなんなんでしょうこのありがた迷惑なお言葉。義家の気持ちが全くわかりません。案の定清衡もこの微妙にうざいラブコールにとまどってしまいます「そんなこと言われても・・・・・一体俺にどうしろっていうんだよ?」本当です。皆あんまり清衡を苛めないであげてください(笑)。

そうこうしてるうちに、とうとう内裏から今回の騒動の沙汰が出てきたということで、兄弟親族揃って胆沢城に参内することになりました。そして義家から2つの沙汰が言い渡されます。まず、家衡は国庫を焼いた罪で向こう1年は年貢を2倍にするということ。そしてもう1つが今後の奥六郡の統治について。真衡亡き後は清衡・家衡の兄弟2人で領地を分割して統治すべし。その内訳は、胆沢・江刺・和賀の三郡を清衡に、稗貫(ひえぬき)・紫波(しわ)・岩手の三郡を家衡に。年貢については従来通りに胆沢の主を介して納める事(つまり清衡の役目になる)・・・・以上の沙汰でした。

これには兄弟はおろか親族一同騒然となります。皆、真衡が死んだ以上その遺産は全て武貞の血を引く家衡に譲られると思っていたのです。それが清衡との分割統治。しかも、清衡に配分された領地のほうが温暖で生産性の高い土地です。更に奥六郡全てから集められる年貢を管理するということは実質的には奥六郡の統括者とみなされても間違いはありません。あまりに清衡有利のこの沙汰に家衡は愕然、清衡を睨みつけます。逆に清衡はただただ驚き戸惑うばかりです。

結局、『文句があるなら朝廷に歯向かうって事だぞ!』と義家に脅され、一同は異議申し立ても出来ずに沙汰を受け入れます。帰る道すがら、清衡の顔は曇ったまま。と、田んぼを挟んで向かい側の道に家衡がいるのが見えました。家衡は馬で駆け寄ってくると清衡を攻め立てます。

「兄者、よくも騙してくれたな!アンタが和議を勧めるからしょうがなく降伏したのに、自分だけいい思いしやがって。兄者は義家と裏で手を組んで俺を貶めたんだ!これが弟にする仕打ちか?こんなことをして・・・・清原一族は黙ってはいないぞ!!」

「卑怯者!覚えていろ!!」と言い捨てて、馬に鞭当て駆けていく家衡。それをじっと見つめながら動く事が出来ない清衡。義家とつるんでいたのは全くの誤解ですが、ここまで待遇の差が明らかだとそう捉えられても仕方ありません。兄弟の間に深い亀裂の走った瞬間です。そして1度入ったひびはもう元には戻せません。清原家の内紛の火種は、くすぶりつづけたまま新たな炎を燃え立たせようとしています。

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いよいよ残り4話です。真衡が死んだと思ったら今度は兄弟間がやばい事になってきちゃいましたね。しかもその溝を作ったのが義家だったとは・・・・。第1部から義家推進派として彼の漢っぷりを絶賛してきた私としてはこのダークな変わりっぷりにかなりビックリです。

義家の一連の行動については、尊敬する藤原経清の息子に対する『純粋に応援したい気持ち』から来るものなのか、それとも義家自身になにか野望めいたものがあってそれを果たさんがために利用しようとしているのか・・・それがまだ判然としないのでなんとも言えません。ただこの回だけ見ると若干前者のきらいが無くもない気がするのです。とするとこれってかなり『善意の押し売り』ですよねbearing清衡は完全にいい迷惑ですよ。2ちゃん風に言うと、UZEeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee(;;;´Д`)ってやつですなcoldsweats01ちょっとマズイですねぇ、これじゃブッキ-兼続と同じになっちゃうcoldsweats02ひぃぃぃsweat01それだけは避けたいゾ!いや、焦っちゃイカン。『炎立つ』はサスペンス×ホラー(笑)風味のドラマティック大河。今までの流れを見ると「昨日の味方は今日の敵」ってパターンが結構ある。今の段階でDQNなハンサム侍と決め付けるのは早いsign01義家にも色々と思うところがあるんだ、そうに決まってる!・・・・というわけで義家の是非については第2部終了まで模様見ということでchick

それからまた色々と地名がたくさん出てきて地元じゃない方は恐らくあまり良くわかんないと思います。一応前に補足として参考地図を載せたのがありますので、御参考にしていただければと思います→コレネ

あと、清衡と家衡に配分された領地の位置関係については、あまりいい地図が見つからなかったので各自でお調べいただければと思います。とりあえず家衡は奥六郡を横に半分にするとちょうど北側の土地(青森県寄り)、清衡は南側の土地(宮城県寄り)ってことだけなんとなく頭に入れておけば良いのではないかとconfident

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大河ドラマ『炎立つ』を観る -第16話-

大変長らくご無沙汰していました『炎立つ』のレビューですtulip

現在『炎立つ』と並行して『独眼竜政宗』を見ているわけですが、『政宗』と『炎立つ』は時代が全く違うのに妙にリンクするところが多いことに気付きます。

政宗が礎を築いた仙台藩、現在の宮城県は『炎立つ』の舞台でもあります。宮城県には多賀城という国府があり、これは律令体制下では東北の拠点として代々陸奥国司が赴任するのです。源頼義・義家親子はここから安倍氏討伐に出発しました。またドラマ『独眼竜政宗』では政宗(渡辺謙)が、従弟にあたる伊達成実(三浦友和)に亘理城を与えるというシーンがありましたが、その亘理(現:宮城県亘理町)という地域は、『炎立つ』において藤原経清が支配を任されており、彼は「亘理の経清」なんて呼ばれていたとも言われています。『炎立つ』は渡辺謙が白血病からの復帰後初のドラマ出演と言うことだそうですが、その復帰第一作が『政宗』から500年以上時を遡り、同じく奥州が舞台というのは何かとてもご縁のあるお話です。

一説によると政宗自身も己を奥州藤原氏の生まれ変わりと言っていたとか聞いた事があります。伊達氏の祖先も同じ藤原氏だったことからも、陸奥に一大王国を築いた奥州藤原氏の威明にあやかりたかったのかもしれません。独眼竜も一目置く「奥州藤原氏」、その礎をいよいよ清衡が築いていこうとしています。壮絶な遺産相続戦はついに武力衝突に発展、風雲急を告げる奥州戦線!それぞれの野望が渦巻く第16話です。

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第16話 -清衡の反乱-

前回、真衡のガン無視接待にキレた吉彦秀武(蟹江啓三)はとうとう真衡に対して挙兵を決意し、自分の領地である出羽山北郡に帰ってしまいました。反対派の先頭に立つ家衡(豊川悦司)も、叔父の挙兵に大喜び。秀武と示し合わせ南北から挙兵して真衡を挟み撃ちにしようということでで早速挙兵の準備に取り掛かります。叔父と弟の挙兵を隣りで聞いていた清衡(村上弘明)は、江刺の自館に戻り、どうしたものかと悩んでいます。今回の遺産相続争いは清衡は完全に蚊帳の外です。なので清衡的には別に誰が争おうがどうだっていいのですが、養子とはいえ清原家の次男である以上、巻き込まれるのは必須。自身の進退をどうするべきか、で清衡は悩んでいるのです。とそこへ胆沢の館から母の結有(古手川裕子)がやってきます。結有の要件は案の定家衡に関すること。

『挙兵を企てている家衡に味方してくれ』

というものでした。清衡は困ります。何度も言いますように、兄弟といえども清衡の父と家衡の父は敵同士なのです。もし家衡が真衡から家督を奪う事が出来ても、藤原氏の再興という清衡の願いは果たせません。結局清原家に組する事に変わりはなく、更に弟に臣下の礼を取らなくてはいけないのですからこんな馬鹿な話はありません。更に、秀武の挙兵は武貞の喪中の間に起こったもの。大義名分は真衡側にあるのです。真衡はそれを見越して秀武を怒らせようとしたのです。秀武・家衡の連合軍は完全に分の悪い戦いです。母の結有としてもその辺の事情が薄々わかっているから清衡に助力を仰いだのでしょうが、清衡としては共倒れは御免です。渋い顔でなかなか返事を出せない清衡に、結有はついに必殺泣き落とし(笑)を発動させ、後に控える貴梨(坂本冬美)や菜香(鈴木京香)の同情を誘い、そんでもって母の泣き落としにはかなわん!と清衡もついにしぶしぶながらも助力の要請を受けいれるのでした。

結有に次いで家衡も家臣の千任(せんとう:織本順吉)を引き連れ、助力を請います。

「兄者、日頃は生意気ばかり申していますが、いざこのような時は兄者の助けなくてはどうにもなりません。兄者が味方についてくれるだけで手前は心強いのです。どうかともに立ってください!」

とこちらも泣き落とし(笑)。清衡が挙兵の事を告げると、家衡は喜色満面。してどのように攻めるか・・・という具体的な話になると家臣の千任が「清衡様には真衡様の養子2人を人質として捕えて頂きたい」と言ってきました。真衡の最終秘密兵器と言っても過言ではない夫婦2人を人質にして、大義名分を掲げて分のある真衡の勢いを挫こうというわけですが、うら若い青少年を人質に取るなんて非道な作戦に清衡も眉をひそめます。千任は後々面倒な事になった時罪を押し付けて言い逃れが出来るよう、あえて清衡にその嫌な役を頼んでいるのです。そういう損な役回りなんですが、清衡はなんとOKしてしまいます。あっさりOKした清衡を見て、家衡主従は喜ぶと同時に拍子抜けしたようです。清衡がいなくなると、家衡は先ほどのウルウルお目目をコロッと引っ込めて

『人が良いの・・・昔はもっと芯のあるお方だった。我慢を重ねるうちに己の道を見失ってしまったようじゃ。哀れなものよ・・・』

などとクソガキのくせに超上から目線で嘲るのでした。

さて、小馬鹿にされたお人よし清衡ですが、こちらもただのお人よしではありませんでした。夜、妻の貴梨が家衡が涙を流してお願いするシーンに感じ入ったことを告げると清衡は「空涙(そらなみだ、嘘泣きのことですね)は女だけのものではないぞ」なんて言うのです。思いがけない冷たい夫の言い草に「そんなこというなんて・・・貴方の口からそんな台詞聞きたくなかったです」となじる貴梨。「まぁ夫婦だからといってお互いのこと全部わかるわけじゃないしね」なんて言う清衡。このやり取りはなかなか興味深いです。人が良いだけの男と思われていた清衡ですが、この妙に冷めた言い回し。腹の内では色々考えてるんですね。なかなか侮れません。徳川家康のようです。でも家康よりかなりの男前ですので、私は全然気にしませんよ。正に「綺麗な花には棘がある」(笑)美形で腹黒なんて素敵じゃないですかlovelyブラック上等!もっとやれ!

所変わってこちらは真衡陣営。吉彦秀武の挙兵に真衡は「待ってましたぁああ!」とばかりにこちらも大喜びです。真衡としては自分が家督を継ぐ上で必ず家衡や親族の秀武が厄介な存在になることはわかっていますので、この際邪魔な存在は片付けてしまおうという魂胆なのでしょう。秀武への無礼な振る舞いも怒りを煽らせ、挙兵させるためのものでした。「喪中と触れを出したのに挙兵するなんてけしからん!成敗してくれる!」と8千の兵を率いて秀武の立て篭もる出羽山北郡に出陣しました。で、その間、弟の家衡が秀武と示し合わせ、留守を狙って胆沢の真衡館に攻め入り、養子夫婦2人を人質にすることも真衡はわかっておりました。養子夫婦の娘、岐己(高橋ひとみ)は源義家の妹です。義家は吉次一族の賄賂作戦が効いたのか(笑)めでたく陸奥守として多賀城に赴任することとなりました。可愛い妹が人質に捕られたとあっちゃぁお兄ちゃんだって黙っちゃいない、必ず真衡に味方してくれる。陸奥守という公権力の助力があれば、ますます大義名分は真衡側に重くなる・・・・真衡はこういうことまで見越した上で今回の作戦を立てていたんですね。なかなかの策士ですねぇ。敵ながらあっぱれです。

清衡は挙兵を決意すると電光石火の勢いで真衡館を急襲。おびえる成衡と岐己に対し、「危害を加える事は決して致しません」と誠実なお顔で説得、江刺の自分の館に丁重に迎え、応対します。そして2人以外の人質を家衡の館に送ります。家衡は肝心の夫婦が自分の元に送られてこない事に驚き、清衡の行動に警戒心を顕わにします。

「兄者・・・・一体何を考えている・・・・?」

清衡もただ家衡の言うとおりにして、割を食うつもりなんてさらさらありません。人質確保という損な役目も、自分の手許に置いておけばおいそれと攻撃される事はない、ピンチをチャンスに変える清衡の不屈の精神が光ります。

出羽山北郡にて秀武軍と対陣中の真衡もまた、予想通りの家衡軍の襲撃に膝を打ちます。しかし、館を襲ったのが家衡でなく清衡であったことには驚きを隠せませんでした。兄弟揃って攻め入ってくるか、あるいは清衡は真衡に味方し、静観するものと思っていたからでしょうか。

「清衡め、甘く見ておったわ・・・」

真衡は早速陣を引き払い、軍を一路多賀城に向けて進めます。狙いはもちろん、陸奥守源義家に協力を要請するためです。

100%自分たちに味方してくれるであろう、とたかをくくっていた真衡ですが、 「いや、協力は無理だわ」と義家にすげなく断られてしまいます。「え?どゆこと?意味わかんない??」と目が点になる真衡。義家曰く、今回の騒動は詰まるところ清原一族の身内同士の争い、「私闘」なので、その場合国家権力は介入してはいけないというルール。だから加勢は無理というわけなのです。「妹と仕事は別だから」と冷静な顔で言われてしまっては、グウの音も出ません。「とりあえず私闘かどうかを確認するために監察役を胆沢に送るから、その結果を待って考えるし」とのらりくらりと言われ、真衡はすごすごと引き返すしかありませんでした。

完全にアテが外れてしまった真衡は逆に不利になってしまいました。「なんとしてでも義家に内戦に介入させねばならない」とまたまた一計を案じます。後日、国府の監察使として義家の家臣2人が胆沢の真衡館を訪れます。しかし、なんとそこには女ばかりしかいない有様。男達は皆、戦に出払ってしまったとの事。と、そこへ家衡の軍勢がこの館に攻め寄せているという知らせが入ります。女達に取りすがられ、監視の家臣2人はやむなく手勢を引き連れ、合戦に参加することになってしまいました。そしてこれこそ正に真衡の狙っていたことなのです。真衡は何とか義家たち国府の軍を味方に引き入れるため、自分の館に女たちだけを残し、自分の軍勢を家衡軍と称して館を襲わせ、監察役の義家の家臣に応戦させることで、『国府軍が兄弟の争いに介入した』という事実をでっちあげようとしたのです。知らせを聞いた義家は多賀城で舌打ちをします。

「馬鹿め!これでは我らは清原一族の内紛に手を貸したことになるではないか!」

こうして好むと好まざるとに関わらず、義家は真衡の側に味方することになってしまいました。そして国府という公権力の後ろ盾を得た真衡は劣勢を挽回、清衡・家衡兄弟は逆に「賊軍」という窮地に陥ることになってしまったのです。

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第1部でも阿久利川の陰謀や、国府と和議を結ぶため、安倍一族が色々策を巡らすシーンがありましたが、『炎立つ』はこういう策略めいたエピソードが随所に挿入されてます。第1部の阿久利川陰謀篇では頼義が自作自演で安倍を窮地に立たせましたが、第2部でその息子義家が逆に真衡の自作自演に引っかかっちゃったというのは、なんとも因果なお話ですcoldsweats01でもこういう策略エピソードってワクワクしますね。

さて、第2部では清衡・家衡の母、結有の動向も見逃せません。

結有は『独眼竜政宗』のお東の方に続く困ったお母さん枠に入る強烈キャラです。見ている人の多くは「困った人!」「なんだこの母ちゃんは!」と怒りを顕わにするかもしれません。が、彼女の辿った人生を振り返ってみるとそうそう罵倒ばかりは出来ません。夫を殺した男の妻になる・・・・もし自分がそのような状況に置かれたとき、冷静に、そして誇り高くいられるでしょうか。たとえ凌辱の上に産まされた子であれ、腹を痛めた我が子を復讐のために殺す事が出来るでしょうか。私は花の独身貴族なんで親子の情については未だわかりかねるところもありますがcoldsweats01こういう極限状態に身を置いた時、自分が冷静な態度でいられる自信は全くありません。人間というものは「強く・賢い生き物」であるのと同時に「弱く・愚かな生き物」でもあるのです。視聴者はドラマの登場人物に憧れやこうあってほしいという希望を託すので、見苦しい振る舞いに時には嫌悪感を覚えるやもしれません。が、残念ながら大河ドラマはドラマでありながら、史実でもあるのです。史実の中に生きた人々は私達と同じ「時に賢く、時に愚かな生き物」です。だから視聴者の希望通りに、彼らが御伽噺のヒーロー・ヒロインが如くいつまでも美しい姿、正しい姿を見せてくれることは不可能だということに私達は気付かなくてはならないと思います。こうした理路整然とはいかない複雑な人間描写に、人間の本質が込められているのではないか思うんですよ。私は最近こういう人物が結構好きです。近くにいると面倒くさいですけど、遠巻きに見るとなかなか興味深い。

我が子のためならば母親は時に驚くほど強くもなり、時に驚くほど愚かにもなれる・・・・・清衡のために屈辱に耐え、敵将の妻になった強さも、家衡のために後先を考えずに清衡に助力を請う愚かさも、どちらも母親の姿であり、そこにはただただ我が子を救いたいという一点のみがあり、それだけを見れば結有に矛盾はないのです。しかしそこに矛盾が生じるのは他ならぬ敵同士の父を持つ兄弟ゆえの結果。母の情愛ではどうにもならない非情な血の宿命がこの母子の上には横たわっているのです。如何に結有が足掻こうとも、彼女の行動は所詮“付け焼刃”に過ぎず、兄弟はどの道争うことになり、それを考えると結有・清衡・家衡の3人の行く先は限りなく暗く、そこに待ち受けるものは“悲劇”以外の何ものもありはしないのです。

第1部では鈴木京香の美貌に押されがちだった古手川裕子さんですが、第2部では哀れで愚かな母親を熱演しております。特にその完璧な老けメイク(これがホントすごい!)には脱帽です。女優魂・役者魂とはこういうことを言うのでしょう。その心意気、信念は正に『漢』!仮にも役者って肩書き付けてんならやっぽこれくらいやんなきゃダメだよ若い諸君。

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大河ドラマ『炎立つ』を観る -第15話-

第1部で活躍していた佐藤慶、里見浩太朗などの大物俳優が去り、第2部ではトメになんとと佐藤浩市が入ってきています。多分佐藤浩市さんは今の年齢から逆算するとこの頃はまだ30代後半だったのではないでしょうか?この年齢でトメとはなかなかのものです。メンバーも一気に顔ぶれが変わり、ちょっとだけ若返りが見られる第2部ですが、それでドラマの雰囲気が軽くなるわけでは全くなく、むしろどんどんシリアスでダークに向っていっています。それは村上弘明さんをはじめとする役者さんの演技がしっかりしているからなんですね。前回の時にちょろっと書いたのですが、清衡にしろ、家衡にしろ、結有にしろ、キャラクターの性格や行動に対してハラハラドキドキはするものの、それを演ずる役者に対して視聴者は「全く不安を覚えない」、これが最近の大河と昔の大河との大きな違いだと思います。視聴者は基本的に役者の演技に信頼を置いているので演じているキャラクターにのみ注目することが出来ます。だからドラマにも入っていきやすい。最近は役者の演技を心配してしまう事が多く、演じているキャラを見るというより、ちゃんと演技しているかをまず見る、ていうに風になっちゃってることが多い気がします。安心してドラマに入り込む』ことが出来なくなっている・・・これも大河の質の低下を招いている一因のような気がします。安心出来る大河ドラマが見たいものですね。

そんなわけで安心できる役者による、安心できないストーリー『炎立つ』第15話を見ていきましょうnote

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第15話 -亀裂-

前回、宿敵源義家(佐藤浩市)の来訪に心乱れ、会いたくないと座り込みで拒否った駄々ッ子清衡(村上弘明)は、大叔父の乙那(寺田稔)に「何馬鹿やってんの!?」と怒られしぶしぶ義家の前に連れていかれました。

義家は第13話で父頼義と共に陸奥を後にして以来、ウン十年ぶりの来訪です。その間、主に都でお勤めに励んでいたのですが、公家にゴマするのがほとほとウンザリしたようで陸奥に来られたことにご満悦です。なんとかしてまた陸奥守になりたいなぁとつぶやく横で乙那が「じゃぁお金ばら撒いてなんとかしてみましょうか?」と持ちかけると、義家も「え?いいの?マジで!」と満更でもない様子。う~ん恐るべし乙那。前九年・後三年の役の黒幕は実は吉次一族じゃなかろうか・・・・wobbly

そんでもってかつて尊敬の念を抱いていた藤原経清の息子を前にして、顔を合わせることが出来た事を素直に喜んでいるようです。暖かい言葉をかける義家に対して清衡は「別に・・・」と女王様モードで答えて場の空気が凍ります。義家は清衡の心中を察して特に怒るようなことはしません。席を外そうとする清衡に、一振りの刀を渡します。それはかつて義家が経清と男の友情の証に取り換えっこした刀でした。「これは経清殿の刀。息子であるそなたが持つべきだろう」、父の刀を託された清衡は敵だと思っていた男が実は父と心通わせていた事を知り、目を丸くするのでした。

義家が陸奥に来たのは真衡の夫婦養子の婚儀に出席するためです。前回、真衡が夫婦養子という大胆な策を思いついたことを紹介しました。その夫婦養子の養女として白羽の矢が立ったのが、岐己(きみ)と言う源頼義の娘なんですね。源頼義・・・・そう!佐藤慶、義家のお父さんです。つまり義家の妹が真衡の養女になっちゃうんです。この唐突に現れた岐己という女性。一体どこから出てきたんだ?とこれを読んでる皆様はかなりポカ~ン・・とされてることと思います。第13話で清原氏に奥州の実権を奪われちゃった頼義親子はションボリな体で奥州を後にしたのを覚えているでしょうか。その途中、常陸国の多気致幹(たけむなもと)という豪族の屋敷に逗留したんですね。致幹は前九年の役で名を挙げた源氏の威光にあやかろうと自分の娘を頼義の一夜の伽に差し出すわけです。その時こさえた子供が岐己なのです。ずっと多気の屋敷でひそかに育ててたので義家も直前になってその事実を知りました。妹の存在を聞かされて吃驚です。「マジで!だって親父あの時もう70前後だったじゃん?!」、いやはやお父さん頑張りました。高齢化社会の現代においてはなんとも勇気付けられる話ではないですか。年齢じゃないんです!要はやる気なんですcoldsweats01そんなわけで、はるばる奥州の地に来た義家は、真衡の館で初めて妹と対面します(これもスゴイ話だなcoldsweats02)。岐己(高橋ひとみ)は幸いなことにお父さん似ではなく(笑)、お母さん似でとっても可愛い妹です。義家はそんな妹に「父上にも会わせてやりたかった・・・」などととっても優しい言葉をかけて妹も「兄上様!」なんて言ってヨヨと泣き崩れます。最近ドロドロした話が続いていたのでこの兄妹の再会は一服の清涼剤のように爽やかで涙そそる良い話です。さすが愛と正義の八幡太郎義家様です。好感度上げるとこわかってますね。

真衡の館には義家をはじめ、都から続々と人が集まり、父武貞の葬儀、そして夫婦養子2人の婚儀に向けて着々と準備が整えられてきています。面白くないのは家衡(豊川悦司)や吉彦秀武(蟹江敬三)などの反対派の面々です。喪中のため表立って真衡に対抗することが出来ず、このままでは真衡の家督相続と夫婦養子で決着してしまう勢いです。まだ若い家衡はフラストレーションを溜め込みイライラしっぱなし。母の結有(古手川裕子)はそんな危なっかしい家衡を「時が来るまで辛抱しなさい」とたしなめます。豊川悦司さんはこの当時はまだ無名に近く、このドラマ出演以降名前が売れていくのですが、所謂『苦労を知らない甘ったれ我侭小僧』という雰囲気を存分に出していて、もう一目で「あ、コイツは駄目だな」と思える糞餓鬼っぷりを見事に演じています。時代を先駆けて『キレる若者』を演じるトヨエツの演技もこの第2部の見所です。

さて、奇しくも清原氏と親戚関係になろうとしている義家にとっても、夫婦養子というアイデアは理解の範疇を超えていました。血の繋がった兄弟もいるのに何故こんなことを・・・そう尋ねる義家に対し真衡は答えるのです。

「自分の代で俘囚と言われ蔑まれていた清原の血脈を断ち切りたい。」

どんなに富や権力を得ようとも所詮俘囚は俘囚でしかありません。そんな侮蔑の対象にしかなりえない自分たちの血を洗い流すには、蝦夷の縁をばっさりと断ち切り、天皇家の系譜を引く源氏と平氏を迎えることが一番良い、そう真衡は考えています。これはこれでなかなか斬新かつ考えさせられる意見です。ただこの考え方は翻せば「まつろわぬ民」と称された蝦夷の血を引く俘囚が、完全に大和朝廷に屈するということでもあります。これは大和朝廷とは一線を隔し、奥州の地に新たな国を作りたいと願っていた安倍氏や吉次一族などの思う俘囚の生き方とは全く相反する考えでもあるのです。朝廷の目の届かない周縁の地だからこそ、今まで俘囚と侮られながらも一定の「自立」を保ってこられた。果たして多くの俘囚がそれを受け入れることが出来るのだろうか・・・・義家はそんな真衡の思惑に危うさを覚えます。真衡と別れ、自室で子飼いの家臣に呟くのでした。

これは身内同士の争いになる・・・・。

義家の危惧したとおり、身内同士の争いはついに抜き差しならない状況になっていきます。婚礼の祝いにと吉彦秀武が砂金を山盛りにお盆に乗せて献上しに参りました。親族筆頭の秀武としては真衡のやり口に不満であっても、一応祝いの席なので儀礼は尽くさねばならぬと思ったのか、はたまた砂金を渡す事で自らの力を真衡に知らしめたかったのか、とにかく慇懃な態度で庭先に廻って面会する秀武。しかし真衡は縁側で知り合いの僧侶と碁にいそしんだまま、庭先で平伏する秀武を見ようとはしません。「え?何しに来たの?貴方に招待状なんて出してないよ。」的な感じで完全にガン無視する真衡の態度に、秀武はとうとうプッツンキレちゃいます。砂金を地面に叩きつけ、頭から湯気でも噴出すような憤怒の様相で帰っていきます。その様子に真衡はニンマリ。どうやら真衡にも何か思うところがあるようです。

公衆の面前で虚仮にされた秀武は怒りに怒ります。すぐさま家衡と清衡の元に向かい2人に向って「俺はもう怒った!兵を挙げるゾ!!」と宣言するのです。秀武の挙兵宣言に同じくらいイライラの溜まっていた家衡も興奮気味に賛同します。その横でどうしてよいかわからなくって目が泳いでいる清衡。はてさて一体この争乱はどう終結に向っていくのでしょうか?

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だいぶ更新が遅れてしまいました。申し訳ないことです。

さていよいよ次回から合戦が始まるわけですが、真衡役の萩原流行さんが良いですね。いかにも「悪い奴」って感じが出てて。このドラマはキャラの色付けにメリハリが効いていて、別に後三年の役なんて知らなくても「あ、こいつ悪い奴だな」とかがすぐにわかってある意味分かりやすい気がするんですよ。歴史は見方によって様々な捉え方が出来るので単純に「悪役」「正義の味方」みたいな図式にするのは良くないことだと思うんですけど、「悪に徹しきる」というスタンスも逆にそれはそれで潔く、カッコよいと思えることもあるんです。佐藤慶さんの源頼義なんて経清から見ればホント「悪い奴」なんですけど、迷いなく悪に徹しきっているから腹も立ちますがカッコよくも見えちゃうんですよね。こういうキャラ設定なら決してその人物を貶めているとは言わないと思うんですがどうでしょう?

「悪い奴だったけどでもホントは良い奴だった」てのももちろんいいんですけど、全部が全部そうだと逆にうっとおしいなぁ・・・なぁんて思ってしまうときもあるんです。最近って何かにつけて「実は良い人」パターンでしょ。なんか作り手が逃げてる気がするんです。批判が怖くて悪を描ききるって「強い信念」がないから、実は良い人で済まそうとしている雰囲気を感じるんですよね。カッコいい悪役ってのも素敵だと思うんだけどなぁthink

最後に1つ中世豆知識をchick

昔読んだ本に書いてあったのですが、中世という時代は『帽子の文化』dramaなんだそうです。成人男性は一般的に烏帽子を被るのが当たり前で、よっぽどのことじゃないと帽子を脱がなかったそうです。時代が下るとその規制も緩んできたみたいですが、『炎立つ』の時代は寝ているときも帽子を被っていてもOKだった模様。ドラマでも清衡が寝室で亡き父の刀を抱いて思いに耽るシーンがあったのですが、そのときの清衡の格好が寝巻着なのに烏帽子はしっかり被ってて、現代人から見るとスゴク変なんですね。でも当時の風俗的には別にOKなんだとか。所変わればなんとやらとはよく申しますが、時代の価値観というのも不思議なモンですね。しかもそんな変な格好で外に飛び出しちゃったりするからもう・・・coldsweats01 ま、でもそんな村上弘明さんも良いです。村上さんはいつだってジェントルマンです。だから何着たって私は許すゼbleah

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大河ドラマ『炎立つ』を観る -第14話-

後三年の役 -華麗なる清原一族の仁義なき遺産争奪戦-

前九年、後三年の役は何度も言いますように大変マニアックな題材です。戦国マニアは数多いれども前九年後三年マニア、あるいは奥州藤原氏マニアなどには私まだ出会ったことがありません。つまりなじみの大変薄いテーマなので、多くの視聴者にはとっつきにくいことこの上ないと思います。また歴史ドラマと言うとどうしてもある程度知識が必要になり、初心者の方には敷居が高く映るかもしれません。でも大丈夫です。「後三年の役」とご大層に銘打ってはおりますがなんのことはない、要は『清原家の遺産相続争い』と思って頂ければ十分なのです。父親の遺産を巡って兄弟親族が争いあう・・・・どうですか?昼ドラあるいは火サスの匂いがしてきませんか?時代は違えどやってることは今も昔もそんなに変わりはないってことですね。ただその果てに「軍事力が導入」されるのが昔のスケールのでかいとこなんですね。というわけで遺産相続に絡む、主な登場人物をおさらいしておきましょう。

清原武貞(名高達郎):清原家の棟梁。父武則から家督を継ぎ、「鎮守府将軍」の座につき、東北一帯を治める権限を持つ。病をわずらい死の床につく。

結有(古手川裕子):武貞の側室。前九年の役で殺された藤原経清の妻で、その後武貞の妻となる。家衡の母。武貞の正室は既に死去しているため、実質的に彼女が正妻扱いである。

清原真衡(萩原流行):武貞の嫡男(正妻の子)。父武貞に代わって日々の政務を取り仕切っている。今のところ家督継承の最有力候補だが、40歳で未だ子がなく、家督を継いでも不安が残る。

清原家衡(豊川悦司):武貞と結有の子。跡目候補としては2番手だが、真衡に子がないため、真衡の養子となって跡目を継ぐ可能性もある。家督相続に野心を燃やす。

清原清衡(村上弘明):結有と彼女の前夫藤原経清の子。武貞の養子となってはいるが今回の家督争いに関しては基本的に蚊帳の外。しかしその裏で藤原家再興を目論み、虎視眈々と機会を窺っている。

吉彦秀武(蟹江敬三):武貞の父、武則の従弟で武則の娘婿(ややこしいなsweat02)。その濃い血縁から、親族の中でも発言権が強い。真衡が親族を遠ざけて、一族内で独裁権を強めていくことに不満を抱いている。後三年の役のダークホース。

上記を踏まえて、ではめくるめく泥沼遺産相続バトルを見ていきましょう。

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第14話 -策略-

清原家の当主、武貞の容態悪化にともない、清衡・家衡はじめ、各地の親族連中がどやどやと胆沢の館に集まってきました。誰の目にも武貞の命が長くないことは明白です。となると俄然注目を集めるのが「跡を誰が継ぐのか」ということなのです。武貞には3人の子供がいます。長男は死去した正妻の子、真衡(萩原流行)、次男は側室の結有の連れ子で養子にした清衡(村上弘明)、そして3男が結有との間に生まれた家衡(豊川悦司)です。長男の真衡は父に成り代わって政務を取り仕切っている関係上、跡目はすんなり真衡に決まるかと思えば、実はそうでもないのです。真衡はすでに40歳、しかし彼には子供がいません。もし跡目を継いでもその跡を継がせる子供がいない。また真衡は武貞の正妻の子ですが、既に正妻は死去。今は清衡・家衡の母結有が実質的に正妻となっています。なので跡目は末弟の家衡にも十分チャンスがあるのです。家衡としてはなんとしても父から自分に有利になる遺言を聞きだそうとするのですが、真衡がそれを防ぐために親戚連中共々控えの間に留め置かせたのです。当主気取りの真衡の行動に家衡だけでなく親族の吉彦秀武(蟹江敬三)や清原武衡なども不満を顕わにしています。もうみんな誰を跡目にさせるか、それだけに集中していて誰も武貞のことを本気で心配なんかしてません。可哀想な武貞。ま、でもしょうがないですね。人間ってそんなもんですからcoldsweats01

さて、水面下で熾烈な跡目争いが繰り広げられている中、1人蚊帳の外なのが主人公の清衡です。武貞の次男となってはいますが、藤原経清の子である清衡。当然、武貞の血を引く2人の子を差し置いて跡目を継げるわけがありません。とりあえず一族のバトルを静観する方向です。中立状態の清衡は周りの人間にとっても「脅威」ではなく、むしろ蚊帳の外ゆえになんでも話せる「頼れる味方」と映ったようです。弟の武衡からは「兄者、兄者」と頼られ、また兄の真衡からも「お前を味方だと思ってる」なんて感じで言われて、どうしたものかといささか困り気味です。で、そんな中、ついに父武貞が臨終を迎えます。遺言はなく、家衡の目論みは完全に外れてしまうのでした。

葬儀の準備やら家督争いやらでドッタンバッタンしている中、清衡は長兄真衡よりある重大な作戦を聞かされます。

その秘策とは「夫婦養子」。先述のように真衡には子供がいません。家督を継いでも子供がいないのでは家衡側につけこまれる隙になります。真衡はその対抗策としてなんと娘と息子を同時に養子として迎え、その2人を夫婦にしてしまおうという奇抜な策を思いつくのです。息子に迎えるのは、かつて出羽守を務めた平安忠の子、成衡。そして娘には前陸奥守源頼義の子、岐己(きみ)。つまり平氏と源氏の子供をゆくゆくは清原家の跡目に据えようということなのです。これはかなり大胆もとい危険な策です。武貞の血をひく家衡や吉彦秀武などの親族を差し置いて、まったく関係の無い人間が清原の家督を継ぐということですから、それがいくら真衡の子であるとしても一族の者からしたら到底受け入れられるものではありません。

このコペルニクス的逆転の発想に清衡も吃驚仰天。すぐにこの事を大叔父の乙那や母の結有に知らせます。皆揃って吃驚仰天。で、結有は「家衡にも知らせねば!」と急いで部屋を出て行こうとしますがそこで清衡に止められます。清衡は以前から疑問に思っていた結有の家衡への偏愛ぶりを指摘し、結有に自分と家衡の選択を迫ります。結有は「兄弟が力を合わせて」ともっともらしい事を言いますが、これは難しい事です。家衡は清原の子。清衡は藤原の子です。もし清衡が藤原、ひいては安倍氏を再興させた時、当然敵の子である家衡は厄介な存在になるのです。場合によっては殺す可能性も出てくる。となると結有の家衡可愛さの言動は、かつて納戸で交わした母子の壮絶な誓いの妨げとなるのです。乙那や清衡から責められた結有は「そなたがそんな子とは思わなかった!」と支離滅裂な事を言い捨てて、その場を後にしてしまいます。結有の盲愛ぶりには、見ているこちらもとまどってしまうのですが、それは清衡とて同じ思いのよう。一体何が起こってしまったのでしょうか。乙那がポツリとつぶやきます。

「結有は変わってしまった・・・。」

歳月が人の心を変えてしまったのです。あれほど清原憎しの情を滾らせていた強い母が、今では敵の血を引く我が子のみに執着する愚かで弱い母に変わってしまった。こんなに簡単に変わってしまうものなのか・・・・人の心の脆さを感じる瞬間です。

肝心の結有が役に立たないとわかると、乙那は清衡にある提案をします。

「源義家殿と手を組む気はないか?」

源義家・・・清衡の父、経清と漢の友情を交わした、御存知、愛と正義のハンサム侍、八幡太郎義家様です。父の頼義は既に死去しており、この頃には名実共に源氏の棟梁となっていました。義家が悪い奴ではないというのは第1部から見ている我々は知っていますが、しかし清衡にとっては父をのこぎり引きにしたにっくき敵の子、無論無理な話です「冗談言わないでくださいよ!」と速攻拒否です。一体乙那は何言い出すんだ?と心外な顔つきです。乙那はそれ以上何も言いませんでしたが、まだ何か含むところがあるようです・・・・。

そうこうしている内に、遺産バトルは白熱していきます。真衡は一族連中を集め、皆の前で父武貞の葬儀を3ヶ月後にすることを発表します。鎮守府将軍である父を弔うため、都からも公家の方々を迎えるため、準備等に3ヶ月置くというのです。同時に夫婦養子の件を伝え、葬儀と一緒に養子2人の婚礼の儀も執り行うことも伝えるのです。思いもかけない先制攻撃に、家衡側は成す術がありません。葬儀が3ヵ月後、つまり向こう3ヶ月は喪中ということです。喪中に争い事は御法度です。挙兵なんぞしたら悪いのは完全に挙兵した側、これでは家衡達はいくら真衡を廃したいと思っていても手も足も出せません。苦々しい顔で平伏する家衡はじめ一族連中たちを見下ろして、水戸黄門の越後屋ばりの悪そうな顔でにやりと笑う真衡もとい萩原流行。イロモノカウボーイ野郎かと思いきや、なかなかやるじゃねぇか!というわけで第一次遺産相続合戦は真衡に軍配が上がりました。

時はちょっとだけ流れて、ある日の江刺の清衡館。久しぶりに大叔父の乙那が清衡を尋ねます。突然の大叔父の来訪にも嬉しそうに応対する清衡。人の良い感じが出ていますね。(贔屓目かしら?coldsweats01)さて、来て早々乙那は清衡に「義家殿を連れて来てるんだnote会ってみてよ」と、とんでもない事を言いやがったのです。清衡は愕然。「ムリ!絶対絶対ムリ!」と拒否る清衡を「まぁまぁ。もう来ちゃってるんだしさtulip」とかいって無理やり引き合わせようとする乙那。しぶしぶ客間に足を運ぶ清衡でしたが、やはり積年の憎悪忘れ難し・・・とうとう扉の前でおもちゃ売り場の幼児が如く、必殺座り込み皆を困らせさあどうなるの!というところで次回持越しです。

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いつの間にか五月になっちゃいました。暖かくてあちこち遠出していたらブログの更新が滞りがちです。もっと頑張らねば・・・・。

はてさて炎立つ第2部、なかなか泥沼化してきましたね。皆の欲望がドロッドロに渦巻いています。逆にここまでドロドロだといっそ清清しいくらいです。段々楽しくなってきています。中途半端に良い子ぶりっ子一杯のドラマよりもこっちのほうがより人間臭くって個人的にはこういうの好きですねshineキャラも一人一人すごく立っているのでドラマにメリハリが効いてるんですよね。45分あっという間に過ぎていきます。役者さんの演技も安定しているので、安心してドラマの内容に集中出来ます。安定感、やはりこれが時代劇、特に長丁場の大河ドラマには必要不可欠な要素な気がしますね。

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大河ドラマ「炎立つ」を観る -第2部 冥き稲妻-

春うらら、京都の桜は先週初めに満開になり、先週末にあっというまに散ってしまいました。皆様の住んでいるところはいかがでしょうか。暖かくなり、外に出るのが楽しくなりました。私は最近、休みの日に琵琶湖周辺をサイクリングするのが楽しいですapple

さてさて、ご無沙汰してました『炎立つ』、今週からいよいよ第2部鑑賞に突入いたしました。

第1部にて安倍一族は国司源頼義に敗れ、滅亡します。渡辺謙扮する藤原経清が鋸引きという非業の死を遂げたのは覚えておりますでしょうか。第2部はその経清の遺児である清丸、後の藤原清衡が父の意志を引き継ぎ、奥六郡および東北一帯を手にするまでを描く波瀾万丈の物語です。

主役を務めるのは村上弘明さん。何を隠そう侘助はこの方の大ファンでございます。中学生の時、テレビ朝日系列で放送した『新撰組血風録』で初めて村上さんを知りました。この時彼が演じた土方歳三がとってもハマッていて、私の中では土方歳三といえば山本耕史さんじゃなく、村上弘明さんなのです。以来、時には他の俳優さんに目移りする事もありましたが、巡り巡って結局最後には『救心』のCMを愛でているという・・・ま、それくらい大好きなのですheart04ちなみに「救心」の前CMキャラクターは大河ドラマ『徳川家康』で主演された滝田栄さんです。この方も素敵な役者さんですよね。お二人ともとてもエレガントです。

「品のある佇まい」、これが村上さんの持ち味だと思います。渡辺謙さんがエネルギッシュでワイルド、という野性味が魅力であるのに対して、村上さんは知的な雰囲気があります。だから『秀吉』の明智光秀のような、文才があり、ちょっとナイーブな役などがとても良く似合います。光秀は良い役でしたね。今回の藤原清衡は、父方が藤原氏ということで都人の優雅な雰囲気を持ち、更に父を殺した敵の家で青年期まで暮らすという苦難の境遇を耐える不屈の闘志を秘めるという、なかなか複雑な役どころです。が、村上さんの品のある顔立ちと我慢強い東北人の気質(岩手県出身なんですね)が、清衡という役に合っていたのではないかと思います。個人的にはヒーロー系よりこういう「耐え難きを耐え・・忍び難きを忍び・・・・」みたいな役が結構似合うと思ってるんですがどうでしょう?大河ドラマも最近出演がご無沙汰気味なのでまた出て欲しいと願っているのですが、とはいえ「ちゃんとした大河ドラマ」に限りますけどね・・・coldsweats01

なにはともあれ、渡辺謙とはまた異なる魅力をもった村上弘明版『炎立つ』を見てまいりましょう!

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第2部 冥き稲妻

第13話 -母子の契り-

前九年の役から3年。厨川の落城で吉次一族に助けられた清丸は、そのまま吉次たちのもとで暮らしておりました。それが母、結有(古手川裕子)の願いを受け、彼女の再婚先で共に暮らす事が許され、乙那(寺田稔)と菜香(鈴木京香、この人も助かってたのねsweat01)に連れられ、その再婚先に向うところからドラマは始まります。

結有の再婚先、それはなんと清原家。前九年の役にて国司源頼義に味方し、安倍を滅ぼしたにっくき仇の家。結有は厨川落城の際、敵の清原武貞(名高達郎)に捕えられ、「戦利品」として武貞の側女にされてしまっていたのでした。当主清原武則他、清原一族の前に引き出された清丸「清原の家に入るからには、清原の者になってもらう、連れてきた従者は帰せ!」「女のような顔立ちだ、坊主の稚児にして可愛がってもらったほうがいいんじゃないの?」とか、一族連中から言葉の幼児虐待を受け、悔しさに体震わす清丸。ようやく会えた母、結有との再会も、しかし彼女の腕に抱かれる赤子の存在が清丸の心に影を落としました。結有は武貞の側女となった後、彼との間に家丸という男の子をもうけていたのです。わずか6.7歳でこのような辛い境遇に身を落とすとは・・・・あまりの不憫さに涙を通り越して怒りすら覚えます。

さて、清原氏は前九年の役の後、安倍氏が所有していた奥六郡の支配も認められます。更に「鎮守府将軍」という肩書きを朝廷から貰い受けるのです。これによって、自身の所領である山北三郡と奥六郡だけでなく、東北地方一帯(現在の福島県、山形県以北)の軍事権をも掌握する事を認められたのです。これはかなりの権限です。要は東北地方のほとんどを掌中に治めたといっても過言ではありません。さて、万々歳の清原氏を横目に、馬鹿を見た2人がいます。前九年の役の火付け役、「武士じゃなく豚だ!」と経清に罵られた源頼義(佐藤慶)とその息子義家(佐藤浩市)です。論功行賞にて頼義は伊予守、義家は出羽守の地位を与えられます。位階は2つランクアップしたものの、伊予は陸奥より国土が狭く、出羽は実質的には清原氏が管理しています。つまり外身は良くても中身がともなわない、2人にとっては大変不本意な結果となったのです。この背景には武士の台頭を危険視する朝廷側の意向が大きく関係しております。先の合戦での源氏の活躍を重く見た朝廷は源氏がのさばるよりは俘囚の清原氏に権限を与えた方が良いと判断したのでしょう。「あの10年に及ぶ苦労はなんだったのか、結局得をしたのは清原のみ・・・」忸怩たる思いを抱えながら、頼義親子は陸奥をあとにするのでした。

話は飛んで、清丸13歳。元服を迎え、名を「清衡」と改められます。これで晴れて清原家の一員となったわけですが、安倍の子である事は周知の事実。義理の兄である真衡(萩原流行)などは端から弟だとは思っておりません。「お前の親父は鋸引きにされ、あまりの痛さにひぃひぃ泣いて喚いたそうだ。見苦しいとは思わんか?」などとあからさまな言葉の刃をぶつけられます。が、清衡は負けた側なので何も言えません。そうして溜まりに溜まった怒りをとうとう母である結有にぶつけてしまうのです。「みんな母上を安倍の尻軽女って言ってます!父上が死んだ時に母上も一緒に死ぬべきだったんです!」と。いやまさか13歳の少年から「尻軽女」の言葉が聞けようとは・・・coldsweats02

清衡の暴言にさすがの結有も思わず平手打ち。校舎の裏庭・・じゃなかった納戸に清衡を引っ張っていき、そこで自分の存念を伝えるのでした。

「武貞に凌辱され、子供を産まされたときに母は死んだ。それでも生きてるのは清原を恨んでいるから、清原を根絶やしにしたいと思ってるから。でも女1人じゃ出来ないからお前を呼んだ。清原の家にお前を食い込ませ、成人したあかつきには、母と2人力を合わせて奥六郡をそなたの手に取り戻すのだ。清原一族を食い散らし、安倍と物部の怨念を込めて藤原を再興させる。それが経清殿の子であるそなたの役目ぞ!」

「そのためだったら母は、仇の子を2人でも3人でもひり出してやろうと思う。頭の先から足の先までどっぷりと清原に浸かったふりをして、心の内では復讐の炎を燃え立たせているのだ。」と。

そして元服の折、授けられた「清衡」という名、これは父経清の「清」と叔父永衡の「衡」から取ったということ。2人とも俘囚ではないのに、安倍のために命を賭けてくれた。もし、お前の名が陸奥に輝く時あれば、そのときは2人に感謝するのですよ、と。

母の壮絶な決意を知り、清衡は自分の浅はかさを恥じ入ります。暗い部屋の中で、母子は藤原家再興の契りを固く交わすのでした。

そんでもって、さらに時は流れ・・・(第2部は8話しかないから展開が早いのですcoldsweats01)清衡28歳(ここから村上弘明さんの出番です)。すでに一人前となった清衡は陸奥国江刺の領地を任され、妻や子供たちとともに、つつましく暮らしていました。母の暮らす胆沢も近くにあるので、結有とも頻繁に行き来を交わしています。さて、清衡の館には柾(まさき、洞口桐子)という女性が滞在しています。彼女は清衡の異父弟、家衡(豊川悦司)の見合い相手であり、この日は母の結有も間に交えて、家衡と柾の見合いの日だったのです。柾はなかなかしっかりした女性ですが、どうも結有はこの柾があまりお気に召さぬよう。家衡が来ぬうちにもう彼女を返してしまえ!と言うのです。あんまりの無茶に驚く清衡ですが、妻の貴梨(きり、坂本冬美)曰く、「母上は家衡殿のこととなると目の色が変わってしまう。」のだそう。敵の子ではあるものの、自分の腹を痛めた子。結有はいつの間にやら家衡に過大な愛情を注ぐようになってしまっていたのでした。そんな母の変貌ぶりになにか釈然としない清衡です。

結有に遅れることしばらく、ようやく弟の家衡(豊川悦司)が到着します。しかし家衡は血相を変えていました。なんと父である武貞の容態が危ないと言うのです。見合いモードから一転、清原一族の棟梁の危篤に驚き慌てる清衡。それは「後三年の役」へと続く悲劇の幕開けでもあったのです。

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というわけで第2部始まりました。

いやぁ~暗いですねsweat02暗い、暗いcoldsweats01こんな暗い話を夜8時台にやってたなんて、まったくもって「恐れ入谷の鬼子母神」ですよハイ。さすがに8時台にこんだけ暗い話持ってこられると、視聴者も引いてしまうのか、当然の如く当時の視聴率は散々だったようです、あちゃちゃちゃ・・・sad。まぁ「凌〇」とか「〇軽」とか放送コードギリギリな台詞のオンパレードですからねぇ・・・すごいよな、こんな台詞役者に言わせるって。思わず拍手しちゃった。きっとスイーツ大河しか知らない人は『炎立つ』みたら「ムリ!!」て拒絶反応起こしそうですが、でも良く考えてくださいな。合戦で負ければ男は首を刎ねられる、女は戦利品扱いです。こういう非人道的な行動がまかり通った時代が前近代なんですよ。そりゃ皆必死になりますよ。生きるか死ぬかの瀬戸際にいつも身を置いている人たちなんです。「愛」とか「義」とか言ってらんないんですよ。だって「負ければ死ぬ」んですから。運良く生き残っても結有や清衡のように勝者の風下に立つしかないんです。そんなある意味死んだ人間が生きるよすがとして「復讐」を選ぶのも無理からぬことです。

多分中島丈博氏は第2部で「生きる執念」みたいなのを描きたいんじゃないかしら?そして極限状態の中で爆発する人間の本質、それがどう歴史を動かしていくのか・・・捨てようとしても決して捨てられない人間の持つ「エゴイズム、業」といったものをきっと描きたいんですよ。結有の台詞なんて正に「生きる執念」ですよね。こういう想像を絶する環境で清衡は生きていかなくちゃならなかったんですね。すさまじいことですbearingそれを簡単に「暗い」とか「難しくてわかんない」とかで一蹴してはいけないと思います。

馴染みの薄い平安後期の奥州を題材にしたというだけでもこのドラマは評価に値すると思います。少ない史料でもなんとか「らしさ」を出そうとしていますし、オールロケで臨場感抜群。渡辺謙・村上弘明という時代劇界の2TOPをオファー。時代劇ファンなら決して無視できない一作だと思います。90年代の大河は「太平記」を皮切りに「琉球の風」とか「花の乱」とか、マニアックな題材が多いです。多分色々試してみようという試行錯誤の時代だったと思うのですが、なかなか意欲作が多いですね。放送当時は決して視聴率は良くはないものの、後年再評価されている作品が多いことを考えると、本当の良い作品というのは「再視聴に耐えられる作品」かもしれないですね。

長々書いてしまいましたが、一つ気になったことが。安倍一族の影の協力者、金売り吉次一族ですが、第2部冒頭で物部氏の末裔であることが判明します。何故物部氏?とちょいと色々調べてみたのですが金山経営と物部氏が結びつかなかったのです。どうして物部氏という設定にしたのかしらん?う~ん、不思議だ・・・・think

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大河ドラマ「炎立つ」を観る 第12話-厨川落城-

日曜の夜、『太平記』の鎌倉炎上の回で北条一族討死のシーンに感動したあと、『天地人』のOPでChange!とか出て一気に気分がダダ下がってしまいました。こんにちは、侘助です。初めてOP習字見ちゃった。何なんだChangeって・・・その前に脚本・演出・役者総Changeしてくれよ。なんでまさみたんドレス着てんの?何で信長と怪しい関係なの?なんでなんで??お船はなんで兼続がいいの?スクールウォーズ信綱のが断然頼りがいあるじゃん、私だったら迷わず信綱よ。なんで?つーかホントにさぁ・・みんな真面目に『御館の乱』やって頂戴よ!!もう突っ込むところが多すぎて大笑いするしかないぜwobbly

ま、それはともかく。お待たせいたしましたいよいよ『炎立つ』第1部完の感想です。DVD見てからだいぶ経ってるのでちょっと忘れがちですが日が経っても『炎立つ』のOPはしっかり頭に残っております。ラブコメ大河じゃ到底出来ない、ショッキングシーン満載のドラマティック大河、世界の渡辺謙の名演を見よ!では参ります。

第12話 -厨川落城-

経清が発案した「衣川撤退&衣川に頼義軍おびき寄せよう」作戦は、貞任の妻流麗の密告であえなく失敗となり、貞任、経清軍は安倍の本陣が置かれた厨川の柵まで撤退します。厨川の柵は峻険な崖の上に建った難攻不落の要害です。「柵」と聞いて、最初牧場の囲いのようなのを想像しちゃったんですが、ちょっと調べてみるとどうやら今で言う「山城」みたいなもののよう。俄然興味が湧いてきました。柵か・・・要チェックだ。そんなわけで天然の要害はいかに戦力の増した頼義・清原軍でも簡単には落せません。なかなか落すことができず、頼義もやきもき、元経清の家臣で義家の家臣になった瀬田剛介に当り散らしちゃったりします。キレられた剛介はあたふたしながらも「敵は篭城に際して、飲み水を貯水場から補給していて川から水を汲んできてはいません。貯めてある水なら限度があるはず」と気付いた事を言います。それを聞いた義家はそこでハタと妙案を思いつくのでした。

数日後、頼義軍は付近の民家を壊し、木材を集め、それを厨川の柵を囲む堀に大量に投げ込みます。そしてその木に火を付けたのです。敵方は「火攻め」を仕掛けてきた!この火が柵内の建物に燃え移っては一大事です。なんとかその前に消し止めたいのですが、貯水場の水を放てば飲み水がなくなり籠城が出来なくなります。貞任は悩んだ末、水を放つ事にしたのですが、これが大失敗。頼義軍は堀の幅より長い板を掘に掛け、その上から燃えやすい木々をばら撒いて火をつけていたので、堀に水が流れても火はその上で燃えつづけているのです。なんとまぁ頭のいい奴らです。これで安倍側は飲み水も減り、火が柵内に燃え移り、逆に追い詰められることになってしまいました。

さて、安倍側が窮地に陥りはじめる中、金売り吉次たち一行は娘の沙羅の占いでいち早く安倍の敗北を予見していました。なんとしてでも安倍の血を絶やしてはならんと結有と清丸を連れ出そうと試みるも結有は頑として受け付けません。そうこうしているうちに嫗戸(うばと)ノ柵を守備していた安倍兄弟の5男、重任が手勢を引き連れ柵より討って出ていく事態になってしまいました。わずか1500の兵で頼義・清原軍と戦う重任、勝ち目はほとんどありません。しかし今ここで助けに行けば更に敵の思う壺・・・・貞任は重任を見殺しにすることを口にしますが、叔父の良照(塩見三省)らは大反対。「親兄弟を見捨てぬ事が安倍の誇りではないか」と。一族家臣の間に不穏なムードが漂い、戦況はおろかその結束までも崩れようとしています。そんな現状を見て、経清は自分が重任を助けに行くことを決断します。出陣を前に結有を呼び「何かあれば、清丸を連れて逃げろ」と言い残して柵より討って出ます。

経清が柵を出て重任の救援に向かったことを知った貞任は怒ります。

「馬鹿め!何故行かせた!重任1人ならば冥土で俺が詫びれば済むが、経清は安倍の婿ぞ。」

友の窮地を見過ごすことは出来ないと思った貞任はついに自らも討って出るのでした。

「人には外してはならぬ道がある。俺も経清と共に戦う!」

もはや水の補給も断たれ、籠城戦はどのみち長くはもちません。この上は一族総出で決死の突撃を仕掛ける他ないと覚悟したのでしょう。柵を出て行く貞任の顔はしかし、それほどに悲壮ではなかったと記憶しています。もともと、猪突猛進の暴れ馬だった貞任。ホントは籠城戦なんてかったるい事はしたくなかったのでしょう。しかし安倍の棟梁となった以上、一族を守るため我慢することも多かったのでは?死地に赴く貞任は安倍の棟梁ではなく昔の「暴れ馬」になっていたような気がします。戦況は絶望的なのに、それでもどこか清清しさを感じるのは、戦というものに「美」を求めようとするその当時の男達の生き様が強く映し出されていたからかもしれません。

さて、友を助けるため出陣した貞任を見て、経清は開口一番「阿呆が!」と怒鳴ります。でもすぐに「お主の死、俺が見届けよう!」と言うのです。互いに慰めの言葉も湿っぽい別れの挨拶もありません。「俺は死ぬ」「なら見届けよう」、心通わせた「強敵(とも)」にはもうこれだけのやり取りで十分なんですね。経清と貞任、2人の目は輝いています。戦う男にとって戦場で死ぬ事は「最高の誉れ」、だから悲しくなんてないんです。いいですね、こういう描写。あぁぁ『花の慶次』読みたくなってきたhappy02

2人の猛将率いる安倍軍は一勢に頼義・清原軍に襲い掛かります。しかしやはり多勢に無勢。次第に兵の数も少なくなってきます。乱戦の最中、経清の従者、稲垣五郎扮する小田忠平も負傷して落馬します。馬から降りて助けようとする経清を「おかまいくださいますな」と止め、脇差で首を掻っ切って死ぬシーンには涙ですcrying稲垣五郎はホント脇役って感じで台詞も少なく、演技もまだぎこちなくパッとしませんでしたが、こんな最期が用意してあったとは・・・・演技の未熟さも影の薄さもこの健気な最期で全部帳消しです。ジャニタレも要は使い所を間違えなきゃ良いってことですな。

そして貞任にもまた、その最期の時が迫ってまいりました。壮絶な戦闘を繰り返すものの劣勢では抗いがたく、哀れ敵の矢衾に晒されついに命を落とすのでした。

「経清・・・先に逝くぞ。」

貞任が死んだ事を知らず、別の場所で経清は奮戦していました。しかしこちらも奮戦空しく、敵兵に囲まれてしまいます。源義家は、経清に対し「死に場所を用意致す」と提案し、その言葉に納得した経清は矛を収め、ついに敵の手に捕えられる事になりました。

武士の情けをかけ、切腹の場を設けようとする義家に対し、父頼義は「経清は類稀なる名将だから、命を助けて源氏の家臣になるよう説得する」と言います。「いくらなんでもそりゃ無理ですよ!」と義家、「まぁまぁワシに任せとけってscissors」と頼義。意外と懐の深い頼義です。衆目の前で経清に向かい、「今までのわだかまりを捨て、ワシの家来にならぬか?」と持ちかける頼義。経清はしかし吐き捨てます。

「豚め!」

「何が武門の棟梁だ!うぬの考えていることはただの欲得のみ。ひたすら朝廷にひざまずく安倍に対して和議をぶち壊し戦を起こした張本人じゃ!何千という此度の犠牲者は、全てうぬの欲得の血祭りに晒されたのだ!兵どもの血をすするケダモノ、食い意地の張った豚め!」

「豚の家来にはならぬ!早く首を刎ねられよ!!」

さすが後年、「牡丹じゃなくて豚よ!」の名台詞を生み出した中島脚本だけあります。「豚」を見事に台詞の中で生かしています。皆さんも嫌な上司でもいたら言ってあげてください、「豚の部下にはならん!」と。(もちろん心の中でだけですよ。実際言ったら流血沙汰ですからねcoldsweats01

さすがの頼義も経清の罵倒にプッツン切れちゃいます。「なら殺してやるわ!」とボロッボロに刃こぼれした刀を更にこれでもかとばかりに岩に叩きつけ、「この刀で首を斬れ!」とあろうことか経清の元家臣、瀬田剛介に手渡します。もうこれは「首切り」じゃなく「首引き」です。ボロボロの刀ではスパンッと首を落とせません。鋸(のこぎり)のように刀を引きながらしか首は斬れんのです。

なんという惨さ・・・義家もたまりかねて止めようとします。でも頼義は聞きません。刀を渡された剛介は膝を震わし、泣きださんばかりです。そんな剛介に経清は「お前に斬られるなら本望じゃ。落ち着いてしっかり引いてくれ」と優しく声を掛けます。意を決して元主人の首に刀を当てる剛介。そのままゆっくりと刀を引いていきます。少しずつ首が斬られていくのを感じつつ、血を吐きながら経清は「引けぇぇ!引けぇぇ!」と剛介を叱咤。あまりの残酷さに「経清殿、許してくれ」と顔を背ける義家、そして眉一つ動かさず処刑を見つめる頼義。

一方、柵の中にもいよいよ清原軍が侵入し、自害するもの、逃げる者、敵味方入り乱れ大混乱。その中で結有は清丸とはぐれ、探し回る内に敵将の清原武貞(名高達男)に捕らえられてしまいます。やがて火の手が上がり、柵内が炎に包まれていきます。赤々と燃える火は遠くからでも見て取れるほど。それはまぎれもなく難攻不落の要塞、厨川が落城したことを示すものでした。柵から離れた場所でその火を見つめるのは金売り吉次(西村晃)と乙那。吉次の腕の中にはいなくなったと思われていた清丸がいます。吉次は清丸に言います。

「清丸、あの火を忘れるでないぞ。安倍は滅びてもお前は生き延びて、また新しい火をおこすのだ。藤原と安倍と我ら一族をあだない、更に大きな炎を燃やすのじゃ!」

こうして、10年にわたる安倍氏と国府との戦い、「前九年の役」は安倍一族の滅亡をもって幕を閉じました。しかし炎はまだ消えてはいません。藤原と安倍を繋ぐ小さな少年の中にその火種は確かに受け継がれているのです。

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というわけで第1部ついに完結いたしました。

個人的にはこの3部構成というドラマの作り方はなかなか良いのではと思います。1年という長い期間放送する大河ドラマは途中どうしても「中だるみ」の時期を迎え、視聴者も離れていく傾向があります。話を一端区切る事で次から新しい気持ちで、ということが出来ますし後々DVDなど借りるときも何話分かで区切っていると借りやすいです。1人の人物で1年もたないのなら2人、3人主人公でも良いんじゃないでしょうかね。それだと大河の題材の幅も増えるんじゃないかしら?

さて、次からは第2部となり、主役が交代します。渡辺謙氏とはしばしのお別れです。経清の嫡男、藤原と安倍の血を引く清丸、後の藤原清衡を演ずるは村上弘明氏です。時代劇界を代表する人気俳優、私も大好きな役者さんです。キャストも変わり、奥六郡も新たな展開を迎えることになります。どうぞご期待下さい。

cherry追記

続きで第1部の感想とか色々書きました。長くなったっちゃったんでお暇な方のみお付き合い下さい。down

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大河ドラマ『炎立つ』を観る -第9話・第10話(+第11話)-

間に山城話やら、徒然日記を挟んでしまい、私もちょっぴり忘れかけていた『炎立つ』ですが、ラスト4話です。予告どおり2話ずつレビューしたいと思います。わからない名前や地名は前回の補足のページの地図を見てくださいね。ではでは、参ります。

2009.3/19にこの記事をUpしたのですが、後日確認したところ、第10話として書いていた後半部分が、実は次の第11話『血戦』での出来事ということが判明致しました。どうやら第11話の内容も第10話に含めて書いてしまっていたようです。2話ずつレビューが急遽3話分をまとめてレビューという形に変更させて頂きました。侘助一生の不覚、お詫びのしようもございませんbearingどの辺りから第11話になったか気になる人はT○UTAYAで本編借りて確認してくださいねshine(←ちゃっかり宣伝かいsweat01

第9話 -密通-

前回で、ボロ負けした「黄海の戦い」から更に5年。源頼義は早や2期目の陸奥守赴任となりましたが、兵力も少なく、以前のように安倍に偉そうな態度をとれません。安倍が衣川を越え、国府の領地に対して年貢の取り立てを実施しても「何も言えねぇ」(←わかるかしら?このネタsweat01)です。もうちょっとで任期満了の時期。なんとか安倍を倒して汚名返上、名誉挽回と行きたいのですがとても兵力が足りません。そこで目を付けたのは奥六郡と境を同じくする出羽山北郡の俘囚、清原氏です。安倍氏に匹敵する勢力の清原氏を味方につければ、劣勢を挽回できます。というわけで息子の義家を清原のもとに遣わして助力を仰ぐのですが、結果はなしのつぶて。義家は何度も足を運んでお願いしますが、家臣の吉彦秀武(きみこのひでたけ)(蟹江敬三)が応対するだけで、当主にさえ会わせてくれません。清原氏の軍勢は1万。安倍を討伐するためには清原氏の加勢なければ到底無理です。必死のアプローチもなかなか「YES」の返事がもらえず苛立つ頼義・義家親子なのでした。

それでも諦めず一生懸命お願いに出向く義家に、吉彦秀武は「味方に付きたいのは山々だけど、安倍と戦うには勝つための材料がないとね。」と言って、さる人物に引きあわせます。その人とは金為時(こんのためとき)。実はこの方、安倍貞任の妻、流麗(財前直見)のお父上なのです。金氏は安倍氏とも縁戚関係がありますが、為時の兄は頼義軍に味方してたり、自身は吉彦氏とも知り合いだったりと方々に御縁を結んでいます。初めて流麗に会ってから早や10年、その間義家は流麗が忘れられなかった模様。そんな義家に「流麗は実家に戻ってきている」と告げる為時。「久しぶりだし会いに行ってみたら?別に個人的に行く分にはかまわないんじゃない?ねぇ為時殿?」「ん~そうだねぇ、会うだけなら別に。ま、ワシ見なかったことにするからお好きにどうぞ。」などと言って焚き付ける2人。恋の病には勝てず、流麗に会うことにした義家。いやはや悪いですねぇ2人ともcoldsweats02

真夜中に人目を忍んで為時の館で再会する義家と流麗。流麗もまた義家のことを忘れてはいませんでした。貞任との夫婦仲は完全に冷え切っており、そこにきて若い義家からの一途なアプローチ。ときめかないはずはありません。そ・し・て、思いあった男女が『ただ会う』だけで終わるはずがありません。サブタイトルの通り、『密通』しちゃったんですねheart02いやはやえらいことです。かたや源氏の御曹司、かたや敵方の人妻。青年と人妻の許されぬ恋・・・あれ?どっかで似たような設定が・・・あ!『天地人』だ。直江兼続とお船も今のところそんな関係だ。でも『炎立つ』のほうが100万倍ドラマティックです。このあたりはさすが『真珠夫人』『牡丹と薔薇』の脚本家、中島丈博氏です。人間の情念を書かせたら「ラブコメ大河」では到底太刀打ち出来ません。

かくして流麗との不倫により、図らずも安倍一族内部から内通者を出す事に成功した義家。この材料のおかげで清原氏側も俄然色めき立ちます。出羽山北郡を預かる清原氏としては安倍氏がこれ以上勢力を拡大することを快くは思っていません。あわよくばこの合戦に乗じて安倍を滅ぼし、陸奥での支配権を強めたいと思っています。安倍氏の敵は朝廷だけではなかったのです。一族の結束を強みとしていた安倍氏に、綻びを見た清原氏は頼義側に加勢することを決断しました。

-隣国の清原が頼義側に付いた

知らせはすぐに安倍側にも伝わります。土地勘のない頼義ら坂東武者に比べ、清原氏は冬の合戦にも慣れています。強力な敵の参戦により、安倍も大混乱。いよいよ前九年の役最後の合戦の火蓋が切って落されたのでした。

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第10話 -衣川撤退- / 第11話 -血戦-

清原氏の参戦で俄然強さを増した頼義軍。朝廷側は頼義の任期満了に伴い、新しい国司を派遣しますが、頼義は安倍と臨戦状態ということで国司を都に帰させ、清原軍1万を引き連れ奥六郡に出兵します。この帰された国司を『風林火山』で北条氏康を演じた松井誠氏がやっています。若いし、今より痩せてます。で、国司の付き人としてなんとくりぃむしちゅーの上田竜也が出ています。このシーンはえらい吃驚しました。「何故いる!?」昔の大河を見てると今の人気俳優とかがまだちょい役で出演してたりしてそういうの探すのもおもしろいです。

一方、安倍側も本格的に合戦を覚悟し、一族総出で作戦会議です。ところが相手は同じく俘囚の清原一族。頼義軍だけなら簡単にやっつけられますが、土地に詳しく、冬の合戦にも慣れた清原軍は、どこから攻めてくるか検討がつきません。兵をどのように分散させるかで意見はなかなかまとまらず、あーだこーだ言い合ううちに3日も過ぎてしまいました。3日目、ついに経清(なんか久々に出てきたなsweat02一応主人公ですからね、皆さん。)がある策を思いつきます。

-安倍氏の拠点である衣川から撤退してはどうか-

これは例えるならば、本土決戦に向けて首都東京を放棄して信州の松代に大本営を移そうとしていた旧陸軍の作戦のように、あえて衣川を捨て、敵を奥六郡の奥深くにおびきよせることで長期ゲリラ戦を展開させようということなのです。(例えわかりますかね?coldsweats01)戦が長引けば敵も消耗します。更に、衣川にあえて敵の侵入を許す事で周辺の柵(小松、河崎etc)から兵を出し、敵を挟み撃ちにすることも出来るのです。作戦が決まりました。本陣も奥六郡の最奥、厨川の柵に移すことに決定。早速女子供一族郎党を厨川に移動させます。住民も周辺に移し、衣川はもぬけの殻。貞任・経清らは河崎の柵に篭り、頼義軍が衣川に入ったと同時に討って出る算段です。

ところがどっこい!経清の策は破られたのです。頼義・清原軍は衣川に侵入せず、貞任・経清の篭る河崎の柵に全軍で攻め入ったのです。思いもかけぬ敵の攻撃に安倍軍は浮き足立ちます。まともに戦うことも出来ず、なんとか衣川の安倍館に逃げ込むのが精一杯でした。一体どうしてこんなことに・・・何がなんだかわからない貞任達に三男宗任が流麗の父、金為時が逃げる途中でいなくなったことを告げます。貞任はこの為時から合戦が始める前に経清が黄海の戦いの際、敵将の頼義・義家親子を見逃したことを聞いており、心の内では先の作戦失敗は経清が敵に情報を漏らしたのではないかと疑っていました。が、逃げ篭った安倍館でなんと妻の流麗と遭遇したのです。女子供は皆、厨川の柵に移ったはず。いるはずのない妻が何故ここに・・・・貞任はそこで気付くのです。内通者は経清ではなく、自らの妻であったことを。流麗は衣川撤退の策を父である金為時に伝え、自らも敵方の義家と落ち合うため、厨川の柵から抜け出してきたのです。

「私を殺して下さい!こうなった以上、生きてはいられません。私がここで誰を待っていたかおわかりですか?源義家様です!」

狂乱する流麗のその言葉に貞任はついに、自らの手で妻を刺し殺します。館に火を付け、衣川を後にする安倍軍。そこに頼義の軍勢がやってきます。義家は逃げる貞任達に遭遇し、貞任から血のついた着物を投げつけられます。それはまさしく死んだ流麗のもの。燃えさかる安倍の館を見て流麗の死を知る義家。渦巻く炎が流麗を、そして安倍一族の繁栄をも包み込み、燃やし尽くしていくのでした。

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いやはや大変なことになってまいりました。終盤にかけてのこの怒涛の展開、『スイ-ツ大河』ではできないバイオレンスな演出、『スゴイ!』の一語につきます。こういう切迫した事態で顕わになる人間の本性にこそ、私はドラマを感じてしまうので、できればお涙頂戴に逃げずにこういう魂のぶつかり合いをもっと描ききって欲しいな、と昨今のドラマに思うこの頃です。

レビューに書ききれなかった部分で素晴らしいシーンがあります。第10話で合戦が始まる間際、江刺の経清の館に義家がお忍びで訪ねて来ます。黄海の戦いにて見逃してくれた礼をしたいということでした。わずかな共だけとはいえ、敵陣のど真ん中に行くのです。その度胸に経清も驚きます。武士である以上、戦うことは避けられぬ宿命。ひとたび戦になれば己の心に迷いがあってはならない、だから戦の前に助けてくれたことの礼だけは言いたかったと話す義家。経清もまた言います。あの時見逃したことをその後何度も何度も悔いた、と。

「敵の館に来て、殺されるとは少しも思わなかったのか?」と問う経清。

「思わない。貴方はそんなことをする人ではない。」と答える義家。

裏のない、まっすぐな言葉に経清は自分の刀を差し出します。「持って行ってくれ」と。そして義家もまた己の太刀を経清に渡します。

このシーンにはとても惚れ惚れしました。なんと見事な男達なのだろう、と。敵同士です。互いに思うところがあるでしょう。しかしそうした感情を越えたところで互いを認め合う度量、これが「武士の心意気」というやつなのでしょう。ググッときました。

義家の行動や言動は少年漫画の主人公のようにどことなく「青臭い」雰囲気があり、一歩間違うと「クサイ芝居」と言われてしまう危険性をはらんでいますが、佐藤浩市さんの義家にはまったくそれを感じさせることが無く、むしろ陰謀渦巻く周囲の状況の中、それでもなお「武士の正義と美」を追い求めようとする姿勢に清々しさを覚えます。佐藤浩市さんはその容貌からか、割とニヒルな役が多い気がするのですが、このちょっと斜に構えた容姿と実直な性格というギャップが、逆に義家というキャラクターに説得力を持たせたのではないかと思います。ドラマを見続けるうちに、私はすっかりこの義家のファンになってしまいました。来週から『天地人』をCHANGEして『義風堂々-八幡太郎義家伝-』にでもしてくれたらTVにかじりつい見てしまうと思います。

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大河ドラマ「炎立つ」を観る -第1部完、その前に-

『炎立つ』は大河では珍しい3部構成になっております。その第1部がラスト4話、いよいよドラマも佳境に差し掛かってまいりました。

レンタルのDVDは大体4話くらい入っています。いつもはブログで感想を書くので1話か2話ずつ見る形で進めていましたが、ラスト4話は途中で止めることが出来ず、一気に見てしまいました。ということでラスト4話は2話ずつまとめてご紹介いたします。

でもその前にちょっと小休止。最近ずっと『炎立つ』の感想を書いていますが、読んで頂いている皆様方ほとんどがもうわけわからんとお思いだと思います。戦国時代と違い、平安後期、しかも源平合戦ならともかく「前九年・後三年の役」なんて日本史勉強していた人だって恐らく忘却の彼方の出来事だと思います。私もそうでした。そこで第1部完結に向け、『炎立つ』を100倍楽しんでいただくため、T〇TAYAにDVDをレンタルしに行こうと思っていただけるように、ちょいとここらで補足説明をさせていただきたいと思いますcherry

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まずは安倍氏の系図を。安倍頼時は子沢山。なのでこの系図を見ればこんがらかった人の名前も一発OK!左図は安倍氏の系図。右図は安倍氏・清原氏・藤原氏を含めた関係図です。

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次に奥六郡の地図です。奥六郡は現在の岩手県奥州市から盛岡市にかけての地域一帯に当たります。岩手・志和(しわ)・稗抜(ひえぬき)・和賀(わが)・江刺・伊沢(いさわ)の6つの郡の総称が「奥六郡」です。この広大な土地を安倍氏が全部任されていたというから安倍氏の隆盛がおわかりいただけるのではないでしょうか。赤線で囲まれた部分が「奥六郡」です。

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Photoでもって安倍氏は奥六郡内に「柵」と呼ばれる独自の防衛拠点をいくつも作って国府の侵攻に備えていたのです。

各地の「柵」の位置は図の通り。頼時は各柵に息子たちを派遣させ、防衛に当たらせました。息子たちは各柵の名にちなんだ名前で呼ばれることもあります。

3 上の図はちょっと細かすぎるのでもうちょっと簡略化したのを(左図)。

源頼義・義家親子はこの「柵」を次々と打ち破っていくのです。

こんな感じの補足ですが、地図と家系図を見ていただければある程度イメージが沸くのではと思います。

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大河ドラマ『炎立つ』を観る 第8話-黄海の戦い-

第8話-黄海(きのみ)の戦い-

安倍氏についた経清。多賀城にいた結有、菜香も乙那の計らいで衣川の館に無事戻ってくる事ができました。しかし経清の義理の母、妹は館に残ったまま。そこに頼義軍が攻めてきて2人を慰みものにし、母子は散り散りに。義理の母は女郎部屋に身をやつすことに。経清の従者で頼義側に残った瀬田剛介が女郎部屋でこの義理の母に出会うのですが、ここのシーンはすんごく吃驚しました。えぇぇ!経清何やってんのアンタはさぁannoy生首とか晒し首とか『炎立つ』はショッキングシーンが満載ですがこの義理の母子のその後もかなりショッキングです。今のように捕虜や人質に対して人道的な配慮なんてないんですよね。恐ろしい時代です。戦の暗部をがっつり見させてもらいました。大河で「戦争反対!」を掲げるならやっぱこのあたりの負の部分をしっかり描かないといかんですよ。

経清の仲間入りに安倍側は大変好意的に迎え入れてくれました。犬猿の中と思われた貞任も経清に抱きついて喜びます。貞任は武骨で短気だけど良い所は良いと認められる度量があってやっぱいい奴です。そんな2人の熱い友情劇を遠目から見る吉次と頼時、荒くれ者の貞任には手綱を引く者が必要、経清と貞任2つの小さな炎がやがて陸奥に大きな炎を巻き起こす、まさに『炎立つimpact』。2人の黄門様も彼らに大きな期待を寄せています。

一方頼義は安倍征伐に向けて着々と準備をすすめています。「攻め入るのは冬」。なんと坂東武者には不慣れな冬の合戦を敢えて仕掛ける作戦に出たのです。「早く冬が来ないかなぁ~heart04」と家臣一同だぁれも負けるなんて思ってません。皆が皆戦の準備でウキウキしてる中、1人息子の義家(佐藤浩市)だけは浮かない顔。義家は頼義に尋ねます。

「此度の戦に義はあるのですか?」

阿久利川の自作自演騒動から半年、義家なりに色々考えてみたようです。「安倍に非はなく、父上達が無理やり戦を仕掛けているだけなんじゃないか?平和を乱すことを武士がして良いのか?自分は父上を尊敬している。なのに父上自らそんな武士にあるまじき行為をするなんて・・・・」

真っ直ぐな義家の意見に頼義は「源氏の名を世に知らしめるため、これはひいてはお前のためでもあるんだ!」と反論。そして「お前は心が美しすぎる。政治は汚い事もしなくちゃならんのだ。泥にまみれる事を恐れちゃいけない。」と諭します。その言葉にツーと涙を流す義家。武士の「正義」と父への「敬愛」の間で揺れる心がこの一筋の涙に凝縮されていました。そんな清しい涙に私も思わずホロリweep。そう、涙は耐えず流すものではない。我慢して我慢して、そしてもうどうにもならなくなったときに流す涙にこそ、我々は感動を覚えるのです。「男は涙を見せぬもの」は「それでも流れた涙こそ本当の涙」の裏返しなんです。毎回毎回ポロポロ泣くよりも、ここぞという時までとっときなさい。わかったか兼続!あんまりひどいなら義家とCHANGE だぞ。まったくもうpout

安倍側もまた戦の準備に余念がありません。そんな所に出羽の俘囚清原光頼が頼時を訪ねてきます。光頼は安倍一族の中で仁土呂志(にとろし、現在の青森県東部地方)を治める安倍富忠が叛旗を翻そうとしているとの情報を頼時に伝えます。一族内の不和は頼義側に付け入られるもととなる、とこの富忠をなんとかしようと頼時自ら光頼と共に仁土呂志に向います。富忠軍はそんなに強くなく、チャチャチャッとやっつけたのですが、ここでなんと頼時が伏兵の流れ矢に当たり、重傷を負ってしまったのです!なんとか三男宗任の守る鳥海(とのみ)の柵までたどり着きますが、傷は重く、駆けつけた家族一同に「頼義と戦争になっちゃったけど安倍の方から攻め込むようなことをしちゃいかんぞ!」と言い残し、なんとなんとそのまま帰らぬ人に。黄門様は東北の地でお隠れあそばされてしまったのですweep

頼時の死亡を伝え聞いた頼義は家臣の藤原茂頼(清水絋治)に「富忠を謀反に走らせたのは頼義が手を回したってことで朝廷に報告しとけよ。」と手柄捏造。ふてぇ奴です。でもそこは佐藤慶なのでなんか納得させられてしまいます。すごい役者です佐藤慶。頼時の死によって安倍の一族内も浮き足立っているはず。時は来た、敵は衣川にあり!てことでついに頼義軍出陣。兵の数は3,000程。当初の予定通り、敢えての雪中行軍です。

ところがどっこい。自然の脅威はあなどれません。覚悟の上の雪の進軍だったのですが、想定外の猛吹雪でにっちもさっちもいかなくなります。猛吹雪の中、慣れない進軍にドッタバッタ倒れていく家臣たち。「こんな吹雪じゃ自滅する。引き返しましょう」と義家がたまりかねて言えば「バッカヤロー!何もしないで帰れるかっつーの」と頼義意地の発言。ここのシーンはすごいです。ホントに猛吹雪なんです。CGじゃないかとよくよく見てみてもやっぱり本物の雪に吹雪。前も後もほとんど吹雪で見えなくなっていて、よく撮影したなぁと思います。撮影時にスタッフの2,3人、エキストラの4,5人くらい行方不明になったんじゃないかしらwobblyそれくらい迫力があります。ここのシーンだけ言えば映画『八甲田山』を越えたと私思います。だって本当に凄いんだもん。感動しました。やっぱロケだよ、CG処理なんてぬるいことやってちゃいかんよ。

そうこうしてるうちに、前方から敵影が!吹雪の先に安倍貞任率いる1軍が疲労困憊の頼義軍に襲い掛かってきたのです。雪に慣れた安倍軍、吹雪の中でもなんのその、馬を走らせ頼義軍の武将たちを次々と討ち取っていきます。防戦一方の頼義軍、3,000いた兵も最終的には10騎残るか残らないか。先祖の代から仕えてくれた家臣たちをほとんど無くし、男泣きする頼義。うなだれる頼義に息子義家が叱咤激励、父に代わって孤軍奮闘します。なんとしてでも敵中突破せねば・・・と手下に命じて安倍軍の甲冑衣装を分捕ってくるとそれに身を包み、安倍の者に成りすまして退却を敢行。エッチラオッチラ雪をかきわけ逃げる頼義たち。とそこにまたしても敵の騎馬隊が!しかも経清の軍!平身低頭して道を開け、安倍の者のように振舞う頼義たち。しかし経清はその中にかつての従者瀬田剛介の姿を見て取り、そして目の前でひれ伏す2人が頼義・義家親子である事にも気付いてしまいます。絶体絶命の大ピンチ。しかし経清は何を思ったか「新しい主を大事にせよ」と剛介に声をかけ、その場を去ってしまいます。

すんでのところであろうことか自分を裏切った部下に命救われた頼義。屈辱に体震わす頼義と経清の振る舞いに感じ入るものがあったのか、尊敬の眼差しでその後姿を見つめる義家。

頼義軍にとってかつてないほどの敗北を記した「黄海の戦い」はここに幕を閉じたのでした。

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安倍の頭領頼時の死、吹雪の中の合戦シーン、今回も盛り沢山の内容でした。

経清の見逃しをどう捉えたら良いのでしょうか?私は「武士の情け」というやつなのかしら?と最初思ったのですが、これはもしかしたらかつて鬼切部の戦いで平繁成を殺さなかった件と同じ効果を狙っての事なのかとも思いました。頼義を殺してしまえば完全に朝廷に矢を向ける事になります。でも今回の戦いも頼義側から攻めてきて、安部は衣川を越えていない。安倍はあくまで攻め入ってきた頼義を退けただけ、としとけば悪いのは頼義達なんで後々なんかあったら言い逃れできるのかな、と。朝廷も武士の台頭を快く思っていないので頼義-朝廷ラインがしっかりと結びついているわけではないし、色々と借りを作っといた方がいいのかな、なんて胸算用があって見逃したという風にも考えましたが真相は薮の中です。でもこの見逃しが後の安倍氏の悲劇を生むのだから皮肉なもんですdespair

今回気になったのは双方の軍の甲冑です。私は甲冑に全く詳しくないので浅い知識と見た目の印象だけの感想なのですが、頼義達、所謂「武士」ですね、この頃の武士の甲冑って隙間が多い気がします。室町後期に入ると胴丸という胴全体をしっかり覆い、しかも動きやすいという実戦的な甲冑が登場しますが、それに比べると重たそうだし、隙間が多いので攻撃しやすそうですし、装飾が綺麗なわりには機能的でないような気が・・・。雪の中歩いてるシーンも甲冑が邪魔してるように見えました。反対に安倍の甲冑は体にフィットしていて動きやすそう。その上、甲冑の上から毛皮を羽織り防寒対策もばっちり。風土に合わせた機能的な甲冑でこっちの方がカッコいいな、なんて見てて思っちゃいました。

頼義達の甲冑見ていると、オシャレのために寒くても生足出して頑張る女子高生たちを思い浮かべてしまった・・・。ほんと寒そうだったbearing

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大河ドラマ「炎立つ」を観る 第7話-経清決断-

第7話-経清決断-

安倍に付くか、頼義に付くか。冒頭から人生の岐路に立たされた経清。悩みに悩みまくっています。経清は言います「家を守らなくちゃならん」。前近代は「個」ではなく「家」の時代です。個人の意見より「家」が第一とされた時代です。家の存続のためなら養子をとるとか当たり前の時代です。だから家がなくなること、それはある意味大罪でもあるのです。だから経清は悩みます。確かに安倍氏は強いです。でも相手は国家権力、初戦で勝てても先の見通しは明るくはない。永衡は安倍に付くといいますが、経清は止めます。「今回は頼義に付こう!結有も貴方の奥方もいつかはわかってくれる。家を潰しちゃいかんよ」と。

そして安倍側でも我慢に我慢を重ねた頼時がついに戦を決断しました。

「頼義は鬼だ!鬼になにやっても無駄だ!」

家臣たちを前に「自分の我侭を許してくれ」と土下座する姿に涙涙crying
付いて行くよ黄門様!あんたのために命捨てるよ!その場にいたらたぶん私そう言います絶対。
藤原説貞に旗を預けてしまった貞任の行動に「愚かであった」と言いつつも、

「愚かであったからとて見捨てることは出来ない。人がこの世にあるのは悉く妻子のためである。その心無くして民はまとめられない。子を見捨てた親に従う民はおるまい。自分の心をわかってくれ」

心にズシリと来ます。そんな頼時に対してかける家臣の言葉も素敵。

「親のために子は死にます。殿は我らにとって親、なんなりと御下知下され。」

感動した!感動したよ私は!なんていい話なんだ。

というわけでついに安倍VS源頼義の合戦が始まってしまいましたが、経清と永衡は頼義に付くことに決め、国府の多賀城に馳せ参じます。安倍の婿2人が国府側に付いたことで頼義はご満悦。早速2人には先陣を命じます。遅れてやってきた結有と菜香の2人を交え多賀城にて出陣の前祝をする経清と永衡。安倍とは敵味方になってしまい胸中は複雑です。「頼義は俺たちを信用していない。何度でも先陣に使い捨て駒にする気だ。」永衡は呻きます。なんとしてでも生き延びよう!と誓い合う2人。永衡の妻、菜香は「お父上が以前くれた銀の兜なら目立つから安部のものにも貴方に気付いて見過ごしてくれるかも」と永衡に兜を託し、無事を祈ります。

かくして合戦は始まりました。先陣を任された経清と永衡は安倍良照(頼時の弟)が守る川崎の柵に攻め込みます。2人とも奮戦し、経清は足を負傷したりしてそれなりに格好の付く形で戦いました。ところが、目付け役の頼義配下は永衡の兜の目立つことを頼義に報告。「永衡は油断できん。また裏切るかもしれない」ということで兜のことを理由にして永衡を殺してしまいます。永衡がだまし討ちにあったことを知った経清は激怒。

「俺は安倍に付く!」

ついに頼義を見限ることを決断。従者の1人、瀬田剛介(稲垣五郎じゃないほうね)が必死で止めるも河を越え、安倍の陣地に入るのでした。

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今回は里見浩太郎が素晴らしかった。子を思う心、民を思う心・・・いい頭領だよホントに。

あとショッキングだったのは殺された永衡の首を乙那が菜香のもとに届けるのですが、生首をがっつり映すんですよ。で、それ見た菜香と結有が恐れおののくという。正面からじゃなく、後頭部から映してましたがそれでもかなりエグイです。今だったら首の入った桶を覗いてそれを見た人の驚いた顔のアップくらいの処理でしょうが、90年代大河はまだまだ生首晒せます。大したものです。しかもその生首に菜香が抱き付いちゃったりするんです。すごいです。今じゃ考えられない演出ですね。

目立つよう銀の兜を付けたら、という提案が逆に夫を窮地に追い込んでしまった事に「女の浅はかさで・・・」と泣き崩れる菜香が良いです。思いついたことがなんでもかんでも上手くいくとは限りません。「女の道は一本道!」で全部片付く世の中じゃないのです。私も女なので女性が活躍する事はもちろん嬉しいですが、「中世は女性の力もかなりあった」という学説を曲解して、内と外をわきまえずに女性を活躍させようとする演出や脚本には疑問を感じます。男も女もそれぞれ出来る事と出来ない事があります。だからこそ各々の「役割」が違うのでしょう。その役割を超えて何かをしようとする時、簡単にはいかないこと、相当の覚悟を要する事を改めて認識させられるシーンでした。

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大河ドラマ「炎立つ」を観る 第6話-阿久利川の陰謀-

平和な前回から一転、いよいよ今回からサスペンス&バイオレンスな展開になってきます。なんたって題名が「陰謀」ですから。最近聞かないですよね、陰謀なんて。やっぱ歴史ドラマはこうでなくっちゃhappy01

ではでは参りますよ。

第6話-阿久利川の陰謀-

源頼頼義が陸奥守に就任して早や四年とちょっと。陸奥の国多賀城では、経清と結有の結婚式が行われました。頼義自らが仲人となり、安倍氏一族も招いてなかなか正大な結婚式。経清も結有もいつのまにそんな仲になったんかい?とちょっと吃驚ですがそこはそういう設定なんですから別に良いのですcoldsweats01これで結有は従五位権大夫(経清の官位。どの位すごいかは知らんsweat02)の正妻となり、経清は安倍氏の婿になったのです。互いに色々背負うものが出てきましたが、当の本人たちは幸せそうですshine「愛」があれば大丈夫ってやつですかね。すぐに子供も生まれました。名前は清丸。後の藤原清衡です。

陸奥守頼義と安倍氏はここ4年良好な関係を築いていました。安倍頼良改め頼時は陸奥守に全面的に恭順の意を示し、年貢はもちろんのこと、事あるごとに貢物を献上して頼義に難癖を付けられないよう精一杯の配慮をしてきました。その努力たるや涙ものです。頼時の苦労が忍ばれます。しかしそれもあとわずか。頼義の陸奥守の任期は5年。あと3ヶ月でその任期が終了するのです。何の問題なければ頼義はあと3月で都に帰っていくのです。

さて、困ったのは頼義のほうです。安倍氏は今のところ非の打ち所なく勤めています。このまま行けば任期満了、何もせずに帰京です。蝦夷討伐にかこつけて武名を挙げ、源氏の棟梁としての地位を確固たるものにしなければ都に帰ってもまた公家の良いように使われるだけです。あと3月、なんとしても安部氏と戦になるよう口実を作らなければなりません。頼義達はあの手この手で言いがかりをつけようと躍起になります。

しかし、頼時は頑張ります。頼義が「恭順の証として柵を壊して」と言えばすぐ壊します。宴会で「芸人の見世物は飽きたから、頼時なんかやってよ」と言われれば、芸を披露します。あの水戸黄門が・・・・衆人環視の中一発芸です。「なんでここまでしなきゃならんのか。ワシにだって男の誇りがある」ホントだよ。もう涙涙ですcrying助さん、格さん助けてやってよ、八兵衛うっかりしてないで!・・・って違うかcoldsweats02

そんなパワハラにもなんとか耐え、ついに頼義が都に帰る日が!ところが頼義は逗留していた胆沢城から多賀城に帰る道中を安倍貞任に同道してもらいたいと頼時に頼みます。貞任は30騎ばかりを連れ頼義の列に同道します。先陣をきるのが頼義の嫡男義家。前回若干15歳で「愛すればこそ殺す」の名言を残した少年は、4年の歳月を経て正義感溢れる立派な青年に成長しました。そしてそれを演ずるのは佐藤浩市。雰囲気はヒネクレ系ですが、中身は「義」と「情」に溢れる、怖いもの知らずな若武者です。佐藤慶の威圧にもなんのその、不適な笑みで返す佐藤浩市の演技はなかなかのものです。根性座ってるぜthink先陣の義家の後に安倍貞任、頼義は最後尾から出発します

頼義一行は途中阿久利川という川の付近で夜営を敷きます。その夜、同じく夜営を敷く安倍貞任の陣に藤原説貞(平泉成)という男がやって来ます。陸奥国府の役人である説貞曰く「頼義は貴方達を夜討ちする算段だから、逃げてくれ」とのこと。説貞は安倍頼時の頼義への忠義に感じ入ったそうでなんとか貞任達を助け出したいみたいです。勝手に逃げ出したらそれこそヤバいんじゃ・・・と心配する貞任達に「自分の兵が貴方達のフリをするからそちらのを一本貸してくれ」と提案する説貞。これを聞いて貞任達も決意が固まりました。自軍の旗を一本貸し、夜陰に紛れて陣を引き払います。

旗、旗です。この旗が運命を決しました。貞任から旗を借りた説貞は貞任軍に成りすまし、そして・・・・なんと頼義の陣に夜討ちを仕掛けたのです。                    

全ては頼義側の「陰謀」でした。挑発に乗ってこない安部氏に対して奴らが乗ってこないなら自分たちで口実作っちまえ!ということにしたのです。見事な「自作自演」です。しかもそれを平泉成が仕掛けるとは・・・・あんた二時間ドラマじゃ話のわかる刑事とかしてたじゃん!

貞任の軍が頼義の陣に夜襲を掛けて逃げた!

平永衡の知らせで事の次第を知った経清は愕然とします。頼義の「罠」についに安倍がかかってしまった・・・・。安倍に付くという永衡。安部氏の婿となった経清にも決断を迫ります。義父である頼時に付くのか、それとも主人である頼義に付くのか、経清の答えは如何に!!

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見て一言。「頼義は鬼だ!」

なんて奴だ!ひどいぞ!最低だ!安倍は・・・安倍はどうなっちまうんだ!?shockこんなに感情移入するドラマ最近とんと見なかったよ。身を切られる思いだ。安倍が・・・安倍がぁ・・・・crying黄門様自ら芸まで披露して頑張ったのに・・・くそぉ頼義めぇpout

と頼義憎しの感情がフツフツと沸き立ってくるのですが、頼義もただの冷血漢じゃありません。頼義はなんとしてでもお家を向上させたいのです。それは自分のためだけではなく、息子義家のためでもあります。義家の代には彼が源氏の棟梁であるために、そのための蝦夷征伐、功名取りなのです。

義家にも策を教えても良かったのでは?と言う家臣達に対し、

「義家には、武士は謀をしてはならない、正々堂々と胸を張って敵と渡り合えと教えてきた。あの子は正義と美だけを生きる信条としている。」

と言って打ち明けなかった頼義。我が子には汚い事をして欲しくない、武士として美しく生きて欲しい!無表情の中に宿る親心に、振り上げた拳も自然と下がってしまいます。いい台詞です。武士とはかくあるべし、これこそ上杉謙信が言う「義」ってやつじゃないの?兼続よく聞いとけやsign01

以前も言ったのですが、私は「泣かせる演出」というのが苦手なので、泣かせようとするためのベタな台詞や演出、音楽ではほとんど泣けません。むしろこういうさりげない台詞、言葉使い、表情などからじ~んと来ることのほうが多いです。この場面もほんの一瞬のやりとりですが、何かグッと来るものを感じました。いいドラマです。同時にこういうドラマが作りづらくなった今の世情をとても寂しく思いますbearing

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大河ドラマ「炎立つ」を観る 第5話-陸奥の春-

第5話-陸奥の春-

陸奥守に源頼義が就任。安倍氏側では頼義がどのような男であるか、また先だっての鬼切部の戦についてどのような処置を下すか議論になります。安倍氏の頭領頼良や三男宗任などはなんとか和議を、と頼義へ恭順の姿勢を見せますが、鬼切部の戦で自信をつけた嫡男貞任は「頼義にへつらう事はない!戦だ!」と徹底抗戦を望みます。そんな貞任の態度に「うぬぼれるな」と一喝する頼良。しかし貞任は納得できません。「ならば、俺が謀反を起こしたことにして厨川の柵に篭る!」と言い出します。どうゆうことかと言うと、今回の戦を身内同士の争いということにして時間稼ぎをしようというのです。

国府多賀城に到着した陸奥守源頼義は安倍氏に対し、貞任の首と奥六郡に設置された軍事用の柵全ての撤去を求めます。弁明に来た三男宗任(川野太郎)は言います。曰く「安倍一族は皆、頼義様に恭順の意を示している。しかし嫡男の貞任唯一人だけ反抗して立て篭もっている。身内の揉め事なので、身内で片をつけるので2.3ヶ月くらい待ってくれ。」と。私闘であれば国家権力は介入できません。従って貞任を討ち果たすまで柵の撤去は保留。頼義の追及を一時かわすことが出来ました。貞任の人物設定は前回の経清の奇策に賛同したことからもわかるように、直情型にありがちな浅はかな奴かと思いきや、武闘派は武闘派なりにちゃんと考えていて、それなりに効果を挙げています。決して「馬鹿」ではないのです。人物描写が単純にならないところが良いですね。いいキャラです。

私闘の処理に3ヶ月という期限を与えた頼義は、息子の義家と配下1名を目付け役として衣川の安部館に派遣します。経清も案内役として同道します。頼義の息子、義家はまだ15歳。今年の妻夫木直江兼続のように、考え方も、行動もまだ若干青臭さが残ってます。第5話だけで言えば、経清よりも主人公っぽいポジションで経清は今回は影が薄いsweat01義家主従が宿舎にあてがわれたのが貞任の館。しかし貞任は奥六郡の北に位置する厨川の柵に篭城しているので今は居らず、妻子のみ離れで幽閉されてます。どういうわけだか妻子を連れて行かなかった貞任。義家は「男の器量は妻を見ればわかる」と貞任の妻子に会ってみたいと言いだします。貞任の妻、流麗(財前直見)を見て義家「美しい!」と感嘆の声を漏らします。で、「自分だったら愛する妻を置いてなんかいかない。置いてくくらいだったら殺す。本当に愛しているならそうすべきだ。」と15歳とは思えないたくましい発言を致します。17歳で人を殺せなくてピーピー泣いてるブッキー直江とはえらい違いです。彼にこそ「愛」の前立てがふさわしいぜ。しっかりしてくれ、兼続よsad純粋一直線な義家の発言に流麗はよよと泣き崩れます。結婚当初から貞任と流麗の間はギクシャクしていて子供が生まれてもそれは変わらず。側にいた結有曰く「貞任は来たけりゃ来いといってたのに行かなかったのは流麗の方」だそう。なかなかこの夫婦の溝も深いのです。で、その流麗の寝所に夜中忍び込む奴がいます。なんとこれが厨川にいるはずの貞任本人なのです。「流麗を連れに来た」そうです。でも流麗は拒みます。押し問答しているところを義家達に駆けつけられ、すんでの所で逃げるも顔を見られてしまいました。

いるはずのない貞任が衣川にいた。義家達の報告にこれは安倍側の自作自演だと気付いた頼義は怒り、衣川に攻め入るぞ!と息巻きます。一方安倍側でもせっかく身内同士の闘いということで時間稼ぎしていたのに当の貞任がぶち壊してしまったためさすがの頼良も「お前がそこまでとんまだとは・・・・」とため息。とんま・・・・最近聞かない表現ですな。とんま、今度使ってみよthinkよってたかって非難轟々の貞任。ついにプッツン切れて「だったら俺の首を持っていけ!」と騒ぎます。頼良もとうとう「だったら斬ってやる!そこに直れ!」と刀で斬りつけようとするも、親族家臣一同総出で止められます。斬る斬らないのすったもんだの最中、乙那が朗報を持ってきます。

-今上帝の御母君の病気平癒のため、非常の大赦を出す-

非常の大赦。現在取り沙汰されているすべての問題、罪罰等を不問にするというなんともミラクルな特例。つまりこれにより、今回の安倍氏VS陸奥守の騒動はぜ~んぶ「無かったこと」になったのです。安倍側は大喜び★反対に頼義は大怒り。

早速頼良は貞任を連れ、そして目一杯貢物を持って頼義の元に向かいます。「非常の大赦ってことで、いやぁどうもありがとうございま~す」と喜色満面の頼良と、戦の口実を失って不機嫌ここに極まれり、という頼義。頼良は陸奥守に全面的に恭順の意を表し、名前も頼義と読み方が同じなのは失礼ということで「頼時」と改めます。その後ろで笑いを噛み締める貞任と、喜んでよいのか悪いのか、なんとも複雑な表情の経清。それぞれ腹に一物も二物も抱えながら、表面上は穏やかな「陸奥の春」の到来です。

chickchickchickchick

ということで、今回の話は比較的平和な話でした。これで平和ってんだからどんだけ普段が「異常」なんだかcoldsweats01。それに比べると「天地人」のぬるま湯のようなこと・・・・sweat02時代が違うので比べるのは良くないのでしょうが、そうは言っても・・・ねぇ?90年代の大河でこれだけ出来るのになんで技術もCGも進歩した21世紀の大河でこれが出来ないの?ちゃんとやってよ、ホントにもうpout

今回は経清の影がとても薄いです。途中で結有とのロマンスとかもあったのですが、それほどでもなく・・・・coldsweats01というか主観で申し訳ないのですが、ヒロインの古手川裕子があんまり美人じゃないというかお年をとりすぎていると言うか・・・・う~ん、イマイチなんですよsad妹役の鈴木京香の方が断然美人なのですよ。鈴木京香は今でも綺麗ですが、昔はもっと綺麗。いまんとこ「炎立つ」の中ではダントツで美人ですshine十二単が良く似合う。

そして佐藤慶。すごい存在感です。前任の陸奥守登任を演じた名古屋章が小物の悪党を上手く演じていれば、こちらの頼義は「ラスボス」です。安倍氏から見れば彼も「悪い奴」なのですが、ドラマでよくありがちな悪役ではなく、「真の敵」というか、ケンシロウにとっての「ラオウ」並みのインパクトを与えています。ほとんど表情を変えずに話すところは、逆に「凄み」を感じ、容易ならざる人物として見ている側にも恐怖を与える演技です。素晴らしいです。やっぱりこういった役者がいるかいないかでドラマが変わってきますね。

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大河ドラマ「炎立つ」を観る 第4話-雪の鬼切部-

第4話-雪の鬼切部-

衣川の安倍氏館に向かった平繁成軍。安倍貞任率いる軍は繁成軍が通過する鬼切部(おにきりべ)に別ルートで向かいます。敵に気付かれぬよう、獣道を進む貞任軍。当然道なんかありません。「道がなければ作れば良いんじゃい!」という貞任は、先発隊に雪を踏み分け道を作らせながら進軍していきます。ところが春先の天気は変わりやすく、なんと途中で吹雪となってしまい、沢に下る道がわからなくなってしまいます。吹雪の中をそれでも猛進する貞任達、気分はもう『八甲田山』です。沢に下る道がわからなくては、繁成軍に奇襲をかけられません。八方塞がりの状況の中、貞任はふと馬の嘶きを耳にします。音のするほうに向かっていくと、その先に白い馬にまたがり、古代の服装をした里見浩太郎がいました。誰だ?吃驚する貞任を尻目に、里美浩太郎は矢を射るといなくなってしまいます。飛んでいった矢の先に足を運ぶとなんとそこは沢への下る道!

「ここだ!ここを下りれば沢に着く。アテルイが俺を導いてくれたんだ!」

そう、古代のコスプレをした里見浩太郎は実はアテルイだったのです。京の都で処刑されたアテルイは、蝦夷にとっては守り神と崇められています。そのアテルイが、貞任達を導いてくれたのです。

繁成軍に気付かれずに鬼切部に到着した貞任軍。夜明けを待って繁成の兵舎に襲い掛かります。突然の奇襲に繁成軍は成すすべもありません。武勇名高い繁成も井戸に隠れたところを捕縛。なんとも情けない有様です。戦いは貞任軍の圧勝で幕を閉じました。

本陣が置かれた伊治城(いじじょう)で繁成軍の敗北を聞いた陸奥守登任。「えぇ!繁成負けちゃったの?うそぉ~ん!」まさかの敗北に放心です。重たい空気が陣を包みます。

数日後、捕らえた繁成を連れ伊治城に来た貞任ら。繁成は殺されてはいませんでした。安倍氏にとって陸奥守との戦いは分の悪い戦い、戦いに「勝つ」よりも「和議を結ぶ」ことが重要なのです。繁成の身柄と引き換えに和議を結ぼうとする算段なので繁成は生かされています。出迎えに来た経清にどや顔の貞任。それが気にくわなかったのか経清は「見せ付けるような形で人質を返すなんて武士の風上にもおけねぇ!」と怒ります。すると貞任は「なにおぅ!まともに合戦もやらなかった奴が偉そうなこと言うんじゃねぇ!!」とバトル勃発。なんとか大事には至らなかったもののどうやらお互い印象は最悪です。「強敵(とも)」にはなれそうにありません。

さて、平繁成と陸奥守登任は合戦後出家してしまいます。「一身上の都合」ということですが、誰の目にも「敗戦の責任」と映ったことは間違いありません。先頃の〇川財務相の辞任のようです。今も昔もそういうとこは変わらないですね。

新しい陸奥守に誰を就任させるか。安倍氏としては藤原登任のような強欲な奴ではなく、話のわかる穏やかな人物を望みます。なのでなんとか安倍氏にとって有利な人材を派遣しようと朝廷を牛耳る公家達に賄賂作戦。しかぁし!豪勢な金配りは功を奏さず。新しく派遣される陸奥守、それは平繁成以上の武勇の名将、源頼義に決まったのです。

陸奥守が源頼義に決まったことを乙那は経清に告げます。「頼義はきっと奥六郡の支配を企むぞ」。頼義は都にいる限り、公家のあごで使われるだけ。しかし陸奥守となり、蝦夷を征伐すれば、その功により位階もあがり、武名もあがるのです。恐らく頼義も公家達に賄賂を配っていたはずと見る乙那。「そんなことをする人には見えない」とまだ頼義の人となりを知らない経清は口ではフォローしてみるものの、やはり不安は隠せず。この源頼義の陸奥守就任が更なる争乱を招くことになるのです。

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陸奥守登任が今回で退場ということで名古屋章のずるがしこい国主ぶりが見れなくなるのはちょっと寂しい。代わって登場するのが佐藤慶扮する源頼義です。いやぁさすが重鎮というか、貫禄が違います。先頃緒形拳が亡くなりましたが、こういう貫禄のある俳優さんがだんだんいなくなってしまうというのは困ったことです。

あと朝廷の会議の場がおじゃる丸が出てきそうなくらいまったりしてておもろいです。中には寝てるんじゃない?て人もいたりして、誇張していると思いますが公家と武家の対比がわかりやすくていいですね。昔の大河はやっぱりメリハリがありますね。メリハリ、大事だと思う。

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大河ドラマ「炎立つ」を観る -衣川への岐路(みち)-

「炎立つ」の何がすごいって、ほとんどの撮影がロケだったことです。

今回の合戦シーンも迫力があります。兵の数はそれほどいません。まぁ小競り合い程度なのですが何が良いって吹雪の中を進軍し、雪原を馬が駆け、男たちの吐く息が白い・・・・雪国育ちの私にはその景色だけで懐かしさと身を切るような寒さを思い出すのです。やっぱロケだよね。スポットライトとか作り物の紅葉なんて何ですか?て話です。

てことで行きます。

第3話-衣川への岐路(みち)-

京都の居酒屋でばったり出会った経清と乙那。経清は乙那に連れられ、さる御方の元に参ります。その御方とは源頼義のこと。後に前九年の役を引き起こすこの御方は、かつて経清の父が下総に赴任していた時に仕えていた人でした。その頼義の前で流鏑馬の腕を披露する経清。5本中4本的に当てるという見事な腕前に、頼義もご満悦。手ずから自分の弓を経清に授けます。「改めて主従の契りを結びたい」という頼義。陸奥守登任という上司がいるのに、主従の関係を結んでしまった経清。後悔した時にはすでに遅しです。悲劇への道は着々と準備されつつあります。

さて、陸奥守登任は安倍氏からの年貢が従来通りの量であったことで年貢の受け入れを拒みます。これによってとうとう安倍氏と国府との間で戦が決定的となりました。前回、出羽守に任ぜられた武勇名高い平繁成が多賀城にやってきます。「安倍氏なんてやっつけてやる!戦は兵の数じゃねぇ!」とこれといった作戦もなく、ただ息巻く登任や繁成たちに経清と平永衡は苦言を呈します。しかし逆に臆病者と謗りを受けてしまいます。永衡は妻が安倍氏の娘、陸奥守の部下なら妻を人質に差し出せと言われ、安倍氏に付くことを決断します。「俺は陸奥の国が好きなだけ。静かに暮らしたかっただけだった。」板ばさみの悲哀が胸にしみます。永衡は経清にも安倍氏へ加担することを勧めます。しかし経清はそれを拒みます。その裏には、先頃死去した父頼遠の言葉「俺は下総にいるとき、国主に逆らってこんな陸奥のど田舎に飛ばされた。お前は何があっても朝廷には逆らっちゃいかん」が耳に残っていたからかもしれません。衣川に向う永衡一行に別れを告げる経清。去り際に「私が安部氏ならこうやって攻める」とある奇策を言い残していきます。苦楽を共にした友への餞なのか、美しい雪景色と経清たちの苦悩の心中が対比的で、見ている側としては自然とやりきれない思いがこみあがってきます。

永衡から経清の奇策を進言された安倍氏は、その奇策を巡り軍儀が割れます。

というのも経清の奇策は言わば「鵯越の坂落とし」のようなもので、平繁成軍の横腹を突くような奇襲作戦です。そのためには道無き道を行き、難所と言われる山を越えなくてはならず、まだ雪残るこの時期にはとても不可能な作戦。自然軍儀もやや消極的な意見の言い合いでまとまりません。そんな中、安倍の暴れ馬、貞任が「俺がやる!」と言い出します。「難しいから奇策っつうんだろ!回避策を話し合うのが軍儀じゃねぇ」と。経清と貞任は前回、祐有を巡ってバトルを繰り広げたので、てっきり経清を嫌っているかと思ったら「敵に回したら厄介だと思っただけ」となかなか懐広い。単細胞の暴れ者と思いきやどうやらその程度の器量ではない模様。この貞任を村田雄浩が演じているわけですが、大柄な体と男らしい顔つきがとても雰囲気があり、「渡鬼」で気弱な亭主やってる人と同一人物とは思えません。渡辺謙もたくましいですが、その中にもどこか公家のはんなりとした雰囲気を残しているのに対し、村田雄浩の貞任は正に荒くれといったところ。この対比もなかなかおもしろいです。

経清の奇策を引っさげて雪中行軍を試みる貞任。そしてついに、平繁成軍も衣川に向って進発します。

陸奥守登任とともに平繁成を見送る経清。果たして勝敗はいかに!?

sun気になったところ

戦国時代の家VS家の戦いとは異なり、今回の戦いは家(安倍氏)VS国家権力(朝廷)の戦いということがミソです。安倍氏としては対陸奥守は翻せば対朝廷になるわけで、本当に勝ちたければ大和朝廷を潰さなくてはならんわけなのです。国家権力に歯向かうのですから、安倍氏側からすれば大変分の悪い戦いです。どこか適当なところで折り合いをつけなければ安倍氏が逆に滅びてしまいます。今回の戦いもどうやって勝つか?というより「どうやって和議に持ち込むか」が重要で、ドラマ内でもしきりに「和議」という言葉が使われています。スカッと戦えないところがフラストレーションが溜まりますが、こういう戦争は最近の大河では中々見ないよな、と新鮮な印象です。

もう一つは「金」です。安倍氏、またその後に繋がる奥州藤原氏の隆盛は金山経営による金の産出によるところが大きいです。いっくら戦が強くても金が無くては軍は動かせません。軍備を増強させるのも、賄賂を握らせるのも「金」あってこそ。安倍氏のバックについてる西村水戸黄門・・・じゃなかった金売り吉次の動向はドラマでも重要な要素を占めていますね。

よく考えると、お金とか裏工作とかこういうふうに戦の裏側で起こっていることを描いているのは最近の大河では少ないですね。戦の華々しさとか、親子の別れとか綺麗な部分ばかりピックアップされる気がします。合戦するだけが戦じゃないんですよね。こういう部分も大河ではもっと描いて欲しいです。

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大河ドラマ「炎立つ」 第2話-恋の予感-

前回の補足sun

・経清の家族構成

 経清が三歳の時に父、頼遠が陸奥赴任に決定。その際、母親は「坂東より遠いところは嫌!」と言って頼遠と離婚。経清は父に連れられ、わずか3歳で実の母と離れ離れ。頼遠は赴任先の陸奥で現地妻を調達するもあまり器量が宜しくない。実の母は別れたくせにちゃっかり陸奥の特産物を無心したりと結構ずぶとい。だけど実の母への思慕もあり、健気にアザラシの皮とか金子とか送る経清はいい歳してまだ独身。

・経清の従者

小田忠平と瀬田剛介という従者がいる。この内、小田忠平をなんとSMAPの稲垣五郎が演じている。ほんとに脇役で第1話なんて台詞二言くらいしかなかった。人に歴史あり。こんな時代もあったのだ。

・安倍氏の家族構成

安倍頼良は子沢山。側室もたくさん。一昨年の武田信玄なんて目じゃないぜ。長男の貞任は頼良と対照的に血気盛ん。結有は貞任の異母妹。結有の下にも菜香(鈴木京香)という妹がいる。菜香は経清の同僚で陸奥守登任の部下、平永衡の妻。ラブラブ新婚さんです。で、結有と菜香も異母姉妹。もうだれがどの母の子だかわかんねgawk

上記を踏まえてでは第2話です

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緊急企画!大河ドラマ「炎立つ」」を観る

「天地人」が大変残念な状況になってしまったためsad日曜8時が手持ち無沙汰になってしまいました。

しかし、近所のTUTAYAで昔の大河の完全版が続々とレンタルしていて「そうだ、昔の大河を見ようではないか!」ということで喜び勇んで借りに行きましたheart02

「真田太平記」「太平記」「独眼竜政宗」などなど・・・見たいドラマはたくさんありましたが、皆同じことを考えるのか、借りられているのが多く、最終的に選んだのが「炎立つ」です。

「炎立つ」は1993年7月4日から1994年3月13日まで放送された第32作目のNHK大河ドラマ三部構成平安時代前期の朝廷と東北地方関わりから鎌倉時代に源頼朝による奥州合戦奥州藤原氏が滅亡するまでを描く(参照ウィキペディア)

ということです。この年の大河は周縁地方の大河ということで前半の1月から6月までは16世紀沖縄を舞台にした『琉球の風』をやっており、後半がこの『炎立つ』です。

見所はなんといっても渡辺謙そして村上弘明の時代劇界を代表する2TOPが主役を務めたことです。私は中学生の時から村上弘明の大ファンでして、彼の主演というだけでお腹いっぱい胸いっぱいです。さらに奥州藤原氏が題材。大学が新潟で、あと父が北海道出身ということもあり、東北地方の歴史には私かなり関心が高いのです。

中世史は最近周縁研究が盛んだそう。文献には「鬼界ヶ島」「外が浜」などと書かれ、「野蛮な土地」と都人から蔑まれていた周辺地域。でも実は朝廷の目をかいくぐって莫大な富を得て、ブイブイ言わせていたそうな。未開の土地に生きた人々の生き様を『炎立つ』を通して見ていきたいと思います。

ではではさっそく第一話をhappy01

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