色々大河その1 -『太平記』-
『炎立つ』を見ているのに、『太平記』も見るという無茶をしてしまったと先日書きました。が、それだけではあきたらず、ノリに任せて『独眼竜政宗』までとうとう借りてしまった私。一体『炎立つ』をレビューする気があんのか!と思われそうですが、レビューはやりますもちろん。ただちょっと遅いだけです![]()
『炎立つ』の感想だけでも手一杯なのに、とてもじゃないですが他の大河までレビューなんて出来ません。でもただ見るだけでは勿体無いくらい2作とも素晴らしく、せめて気になった人物やなんかのちょっとした感想だけでも記事にして、これから見ようとしている皆様の参考になればと思っております。ということで今日は『太平記』です。
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『太平記』は1991年に放映された第29作目の大河です。南北朝期は天皇関係の描写が多いため、色々と厄介事が多く敬遠されていた時代です。当時のプロデューサー曰く、「局内でも時期尚早であるとの意見があったものの、機が熟して取り上げられる時期が来るものでもないだろうとの判断から、本格時代劇として制作されるに至った」とのこと。いや、見事な決断です。今だったらもっと出来なかったでしょうからね。
ドラマの内容は、頑張ってわかりやすくしようとしているものの、やっぱり複雑で難しいです。ドラマを見てすぐにウィキペディアを開いて調べなくてはついてけませんでした。初心者にはなかなか理解するまでが難しいドラマかもしれません。しかしN○K松平アナ曰く「歴史とは、人間のドラマである」の如く、私達人間の日々の営みそのものが歴史なのです。そして人間とは常に矛盾をはらんだ生物です。つまり歴史とは即ち、御伽話のように理路整然とはいかない、複雑怪奇に入り組んだものとならざるを得ないのです。だから難しいのは仕方が無い。むしろ無理にわかりやすくしようとして大事な部分を端折ったり、改ざんさせたりするほうがよっぽど酷いことです。わからなかったら見てる方が調べりゃいいんです。今ならネットですぐに検索できますし、書店にはハウツー本が一杯出てるし、いくらでも情報はあるのですから。制作者側には「わからんのなら勉強せい!」くらいの気概を持って、必要以上に視聴者に媚びずにいて欲しいものです。
てことで主な登場人物の感想です![]()
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足利尊氏(真田広之)
後醍醐天皇を追い落としたってことで「悪い奴」ってイメージがついてまわった尊氏ですが、史実の尊氏は結構気分屋さんというか、アップダウンの激しい性格だったそうです。慈悲深く、度量がでっかいという評価がある一方で、戦で負けそうになると突然「俺もう腹切るから!」とか言って家臣たちを慌てさせたり、自分から後醍醐天皇に背いたくせに、いざ一触即発の状況になったら「戦はむなしいから俺出家する」とか言い出すし・・・。中世史の研究者である佐藤進一先生は「尊氏は躁鬱病かも」とか言っていたようですが(そういえば、大学のゼミの先生もそんなこと言ってたな・・・)まぁ躁鬱かどうかはともかく、だいぶ面倒くさいご気性だったようです![]()
そんな尊氏を演じるは、真田広之。ドラマの尊氏は正義感はあるけど、ちょっと世間知らずで優柔不断、足利一門の棟梁として良くも悪くも「お坊ちゃん」な雰囲気を随所に醸し出しています。イメージとしては「天地人」の妻夫木君の明るさと「義経」のタッキーの憂いを帯びた風合いを足して2で割って、「独眼竜政宗」の渡辺謙の逞しさとエネルギッシュさをプラスした感じです(←わかるかな?)。周りの役者がアクの強い人ばかりで、主人公にしては若干影が薄いです。でも真田さんの良いところはアクション養成所出身ということで立ち回りが素晴らしいのです。馬に2人乗りして柵越えやっちゃったり、流鏑馬したり・・・とアクロバティックなシーンが満載でそれが普通の役者さんより図抜けて迫力があるのでTV見ながら「おぉぉお!!」と思わず感嘆の声を挙げてしまいました。ブッキ-もなぁ・・・・こうなんか一つ抜きん出た芸があれば演技がちょいとダメでも見れるのになぁ![]()
登子(沢口靖子)/藤夜叉(宮沢りえ)
尊氏に関わる2人の女性。1人は正室の登子、1人は結婚前に付き合ってて妊娠させちゃった白拍子、藤夜叉です。どちらも当時はアイドル(だったの?よく知らんけど)として人気絶頂の沢口靖子・宮沢りえが演じています。2人ともとても可憐です。「可憐」という言葉、最近とんと使わなくなりましたが2人にはこの言葉がぴったりです。沢口さんはお姫様オーラ満開です。出てくるだけでパァーと画面が明るくなります。今もそうですが華のある女優さんです。宮沢さんも同様。今より結構ふっくらしているけどそれもまた可愛らしい。最初の頃はまだ少女のあどけなさを残しつつの演技。で、子供産んだ後は母親の落ち着きと生活に疲れた感じを出していてそれがアイドルとは思えない演技で感動しました。さすが後年実力派女優と呼ばれるだけあります。この2人を見ちゃうと申し訳ないけど長沢まさみたんも相武紗季ちんもアイドル女優止まりというか先細りの予感が・・・![]()
佐々木道誉(陣内孝則)
『太平記』のファッションリーダー佐々木道誉。バサラ大名、「花の慶次」で言うところの「傾奇者」ってやつですね。とにかくやることなすことなんか派手。彼の衣装だけいつもパリコレです。そしてすんごく偉そう。これだけ聞くとなんか嫌な奴に聞こえますがこれが逆にカッコいいと思えてしまうから大したものです。見た目からもうアクの強さを発揮している陣内孝則さんの佐々木道誉は、彼のキャリアの中でも1,2を争うハマリ役ではないかと思います。今日は北条方におべっかを使ったと思えば、明日は朝廷側に協力する、敵か味方かわからない彼独自の美学に基づいて行動する姿勢は尊氏とは一線を隔したダーティーヒーローとしてドラマを引き立てています。私は道誉の衣装と変人っぷりがとても好きで、いつのまにか彼が登場すると「DO・U・YO
」とTVの前で手を叩いて喜んでしまっていました。
後醍醐天皇(片岡孝夫(現:片岡仁左衛門))
セクシー帝、後醍醐天皇。演ずる片岡孝夫(現片岡仁左衛門)さんは、上方歌舞伎の花形です。その流麗で気品のあるお顔立ち、歌舞伎で鍛えた所作は天子の風格を存分に発揮しております。そりゃ尊氏だって道誉だって帝に惚れちゃうよ。倒幕を企てたものの、六波羅軍に見つかって捕えられたとき、私もついつい「あぁぁ帝が・・・・
」と哀しんだものです。気付いたらいつのまにやら「GO・DA・I・GO
」とTVの前で手を振っておりました。ちなみに後醍醐天皇はとっても子沢山です。そんで息子たちを全国各地に派遣させて各地の武士たちに挙兵を促しました。私の故郷、長野にも宗良親王という人が来ています。アクティブファミリーですね。
その他、気になった人々
北条高時(片岡鶴太郎):怪演です。
長崎円喜(フランキー堺):フランキーさんの演技を初めて見た。
長崎高資(西岡徳馬):徳馬がこんなところにもいた!
足利貞氏(緒形拳):ナチュラルな演技なのに存在感抜群。
清子(藤村志保):今川氏は足利氏の分家筋だそう。「太平記」では足利尊氏の母、「風林火山」では今川義元の母。なにかご縁を感じる話だ。
楠木正成(武田鉄也):「忠臣」の鑑として崇められた正成。武田鉄也さんの正成は田舎に住んでる気のいいオッサン風味で武将っぽくないです。だがそれが良い。
文観(磨赤児):似合いすぎてて逆に怖い。前世は文観だったんじゃないのかしら?立川流というとんでもない宗教立ち上げた人。
北条守時(勝野洋):登子のお兄ちゃん。勝野洋さんの渋い演技が光ります。今年の大河はこの手の中堅どころの役者さんが少なすぎる。男は30過ぎてからが華だ!
北条貞顕(児玉清):アタックチャァアンス![]()
他にも素敵な方たちがたくさんいますが、きりが無いのでこのあたりで。それとOPテーマが良いです。序盤の雅楽っぽい曲調が南北朝の不安定感を出していてワクワクします。『炎立つ』『太平記』と立て続けに見たおかげで、今、中世前~中期の時代が自分の中で猛烈に「来て」います![]()
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