久々に『風林火山』を見た-ツンデレ姫しゃま-

前回の続きtulip

そういうわけで諏訪氏贔屓の私は、当然由布姫が好きだ。というか『風林火山』の中でいっちゃん好きだ!大好きだ!!ミツやんの土臭さも、りっちゃんの健気さも、三条夫人のしとやかさも、あの圧倒的な存在感、泣きたくなるほど戦うことでしか己を表現出来ない『不器用さ』、これを前にしたら私の中では霞んで行ってしまう。すごい女優が出てきたもんだ。ああいうタイプの女優って昭和の終焉とともに絶滅したと思っていたら・・・21世紀にも生き残っていたよ!若泉Pグッジョブだぜgood

最視聴してみると1回目に見た時には考えなかったことも思いつく。

勘助はどうして由布姫を助けたのか?姫しゃまが持っていた摩利支天の首飾りを見て、生きることに執着していたミツやんとリンクした、とドラマではなっていたけど改めて見直してみるとどうも後付け感が否めない。そんなことではないんじゃなかろうか。もっと単純な事だと思う。個人的に思うに、なんで姫しゃまを助けたのか―

姫しゃまが生きたい!て言ったから。chick

詰まるところこれに尽きると思う。え?意味分からない?・・・あらまぁcoldsweats01えっともっと噛み砕いて言うと、要は理屈じゃないんだよ。ホラ、恋愛ドラマとかで友達に「なんであの人好きになったの?」て聞かれて「理由なんて無いの。ただ好きでしょうがないの!」なんて言うシーン、よくあるでしょ?アレだよアレ。『ただ生かしたい、理由なんて無いの』それだけなんだと思った。こういう不条理かつ観念的な理由が姫しゃまと勘助の間では成立しうる状況だった。で、それを可能にさせてくれたのは姫しゃま役の柴本幸嬢の活躍があったからだと思う。

とにかく彼女は声が良い。低すぎず、高すぎず、すごくよく通る声。天性の素質なのか、大学時代の演劇サークルで訓練してたのか(サークルっつっても熱心にやるサークルはやるしね)ホント良い声heart04彼女の声には力がある。ちょっと一声彼女が発するだけで、その場にいる人、TVを見ている人の意識をグワッと自分に向けさせることが出来る。どんなに無茶苦茶な命令でも、彼女が言えば即座にははぁ~とひれ伏すしかなくなっちゃう。理屈じゃない、体がそう反応してしまう。諏訪氏という格の高い、また神的な側面を持つ家に生まれた凡人とは異なる別格のオーラを、彼女はその声で、その身体全体で発することが出来た。姫しゃまが『生きたい!』て言った時、勘助は完全に姫しゃまの霊的オーラに圧倒されちゃった。だから『姫様をお連れ申す』なんて普通じゃ考えられないことを言っちゃったんだと思う。だってちょっと前まで一族全員殺す、殺すって言ってた人なんだよ、勘助は。政治的側面から見れば絶対生かしちゃいけない姫しゃまだから、可哀想だとか昔の恋人に似てたから、とかいうスイーツな理由じゃ兼続ならばともかく(笑)絶っ対勘助は心動かされないはず。理性も常識も飛び越えた本能の部分に訴えかけられたからこそ、勘助は助けちゃったんじゃないかなぁ。

勘助も多分後で『なんで俺あの時あの姫しゃま助けちゃったんだろう?わけわからん。やっぱ殺した方が良くね?あぁ~でも殺せないわ。なんでぇ?』なんて思ったんじゃなかろうか。人間って結構簡単に感情に左右されてしまう面があるからね。ずっと理詰めで生きてける人ってなかなかいないんじゃないのかね。

ただ、「ドラマ」という代物は起承転結があって、理詰めである程度描かないと視聴者が納得しない。「なんとなく」みたいなぼやっとした理由じゃ許されないからあんな演出にしたんじゃいのかしら?本当は勘助と姫しゃまにはもっとこう、スピリチュアル的な何か発動したんだと思う。それを感じさせてくれる柴本嬢の演技だった。ほとんど初めてのドラマ出演であれだけ出来れば十分だと思うよ。あの程度も出来ない自称女優って人一杯いるもの。たいしたもんだいconfident存在感とかオーラって努力じゃどうにもなんないからね。これはすごく大事な才能だと思う。

あの衝撃の『運命の出会い』で私のハートもがっつり掴んで離さない見事な演技を披露した柴本嬢。私すっかりファンになっちゃって、その後の動向もちょこちょこチェックしちゃったりしてる。

なんか近々主演映画が公開されるらしい。予告動画見たらおもしろそうだった。http://www.natsu-yume.com/ コレね

で、9月にはこれまた映画で小栗旬君と共演するらしい。http://wwws.warnerbros.co.jp/tajomaru/ こっちね

安っぽい民放ドラマになんか出演しないで、いい脚本のいい作品に出演していって欲しいわconfident

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久しぶりに『風林火山』を見た-エコな軍師-

近所のTS〇TAYAではちょくちょくレンタル半額セールをやっていて、それを機に久々に『風林火山』を借りて見た。

マジでおもしろかったhappy02

現在諏訪攻め編に突入してるのだが、おもしろい。ファンの間では海ノ口城攻めのシーンが一番好き、という意見が多いのだが、確かにその回もいいけど私は諏訪攻めにおける政治的駆け引き好きだ。

私は意外と合戦に対しては結構どうでもいいと思ってる。時々いる合戦マニアのように、ハリウッドばりのスケールのでかい合戦シーンなどN〇Kの予算では到底無理と思っているので正直全く期待していない。ただ、たとえちゃちいセットであっても見せ方によって「臨場感」が生まれるので、そういうところを工夫してとにかく「らしく見せて」くれれば別になんでもいい。時代考証がちょっとくらい間違っていても良い。とにかく「らしくあれば」良い。それよりも合戦に至るまでの経緯、内応・調略・裏切り・謀殺等々・・・そういう政治的な黒い部分の方にずっとずっと惹かれる。見ててワクワクする。すんごく楽しい。

軍師というと合戦時に策を巡らせる役と思いがちだがそうではないな、と気付く。戦国時代というと合戦ばっかりやってたかというと意外とそうでもなかったらしい。ほとんど合戦はしていなかったとなんかの本で読んだ(確か藤木久志氏の本だったっけか?)。なんでかっていうととにかく『金がかかる』から。合戦1回やるだけでそれが大きかろうと小さかろうと出費がかさむ。だからほとんどの場合、内応や和議などの『話し合い』で解決させていたとのこと。桶狭間とか川中島とか関が原とか・・・歴史に残る合戦はつまり『すごく珍しくて、大きな合戦だったから記録に残った』からだとか。目から鱗の落ちるお話だ。

それに、基本的に武士って『合戦のプロ』だから、百姓とかに比べれば断然強いし、よっぽど才能ない奴以外はそれなりに場数を踏めばそこそこ合戦も上手くなるはず。だからただ単に合戦だけやるならば別にそれほど軍師は必要じゃないと思う。普通の武士に出来ず、軍師に出来ること・・・それは『出費をいかに抑え、犠牲をいかに少なくして合戦に勝つことが出来るか』を考えられる、つまり『省エネ合戦』を提案出来ることなんじゃなかろうか。

諏訪攻めはすごく『省エネ合戦』だった。高遠を唆して戦を引き起こさせ、戦になると松明をたくさん掲げて兵の数を多く見せて敵を退かせ、そんで和議に持ち込む・・・武田方はほとんど兵力を失っていない。正しく『エコ』時代を先駆け、地球に優しいエコキュートな合戦をやってのける、そんな勘助に痺れたゼ!

ちなみにこんだけ勘助褒めといて私、諏訪攻めにおいては終始諏訪氏の味方でした(爆)だって私は信濃の子なんですもの。仲代さんから始まって亀ちゃんもウッチーもみんなして信濃を攻める、佐久を攻める、諏訪がどうのって・・・・

いや、来なくていいから(笑)coldsweats01

TVに向かってマジ突っ込みしちゃったよホントに。もう甲斐で頑張って!いきなり攻められても逆に迷惑だから!それと善光寺の秘仏パクらないで!勝手に自分の国に善光寺町とか作っちゃダメよ!(謙信アンタもよdash

『風林火山』が初めて放映されたちょうど1週間くらい前に私は大学の卒論を提出した。奇しくも題材は武田氏が侵攻してくるちょっと前までの信濃の勢力図についてで、その一環で諏訪氏に関しては結構突っ込んで研究してた。だから諏訪氏に対する思いはそこそこ強い。なので俄然諏訪氏寄りなのはしょうがない。何度も言うけどだって私は信濃の子なんだもんbleahだから諏訪氏の話なら私結構暑苦しく語っちゃうゼ!でも話し始めたら終わらないから一つだけ。

あのね、おのれおのれ!の高遠さんなんだけど、彼の名誉のためにフォローさせてもらえるなら、彼自身はもしかしたらあんなユーモア溢れる小物キャラだったかもしれないけど(笑)「高遠氏」という一族は諏訪氏を語る上ではかな~り重要だから。「北斗の拳」のモヒカン達みたいな雑魚キャラじゃないから。そこんとこひとつヨ・ロ・シ・クwink

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大河ドラマ『炎立つ』を観る -第16話-

大変長らくご無沙汰していました『炎立つ』のレビューですtulip

現在『炎立つ』と並行して『独眼竜政宗』を見ているわけですが、『政宗』と『炎立つ』は時代が全く違うのに妙にリンクするところが多いことに気付きます。

政宗が礎を築いた仙台藩、現在の宮城県は『炎立つ』の舞台でもあります。宮城県には多賀城という国府があり、これは律令体制下では東北の拠点として代々陸奥国司が赴任するのです。源頼義・義家親子はここから安倍氏討伐に出発しました。またドラマ『独眼竜政宗』では政宗(渡辺謙)が、従弟にあたる伊達成実(三浦友和)に亘理城を与えるというシーンがありましたが、その亘理(現:宮城県亘理町)という地域は、『炎立つ』において藤原経清が支配を任されており、彼は「亘理の経清」なんて呼ばれていたとも言われています。『炎立つ』は渡辺謙が白血病からの復帰後初のドラマ出演と言うことだそうですが、その復帰第一作が『政宗』から500年以上時を遡り、同じく奥州が舞台というのは何かとてもご縁のあるお話です。

一説によると政宗自身も己を奥州藤原氏の生まれ変わりと言っていたとか聞いた事があります。伊達氏の祖先も同じ藤原氏だったことからも、陸奥に一大王国を築いた奥州藤原氏の威明にあやかりたかったのかもしれません。独眼竜も一目置く「奥州藤原氏」、その礎をいよいよ清衡が築いていこうとしています。壮絶な遺産相続戦はついに武力衝突に発展、風雲急を告げる奥州戦線!それぞれの野望が渦巻く第16話です。

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第16話 -清衡の反乱-

前回、真衡のガン無視接待にキレた吉彦秀武(蟹江啓三)はとうとう真衡に対して挙兵を決意し、自分の領地である出羽山北郡に帰ってしまいました。反対派の先頭に立つ家衡(豊川悦司)も、叔父の挙兵に大喜び。秀武と示し合わせ南北から挙兵して真衡を挟み撃ちにしようということでで早速挙兵の準備に取り掛かります。叔父と弟の挙兵を隣りで聞いていた清衡(村上弘明)は、江刺の自館に戻り、どうしたものかと悩んでいます。今回の遺産相続争いは清衡は完全に蚊帳の外です。なので清衡的には別に誰が争おうがどうだっていいのですが、養子とはいえ清原家の次男である以上、巻き込まれるのは必須。自身の進退をどうするべきか、で清衡は悩んでいるのです。とそこへ胆沢の館から母の結有(古手川裕子)がやってきます。結有の要件は案の定家衡に関すること。

『挙兵を企てている家衡に味方してくれ』

というものでした。清衡は困ります。何度も言いますように、兄弟といえども清衡の父と家衡の父は敵同士なのです。もし家衡が真衡から家督を奪う事が出来ても、藤原氏の再興という清衡の願いは果たせません。結局清原家に組する事に変わりはなく、更に弟に臣下の礼を取らなくてはいけないのですからこんな馬鹿な話はありません。更に、秀武の挙兵は武貞の喪中の間に起こったもの。大義名分は真衡側にあるのです。真衡はそれを見越して秀武を怒らせようとしたのです。秀武・家衡の連合軍は完全に分の悪い戦いです。母の結有としてもその辺の事情が薄々わかっているから清衡に助力を仰いだのでしょうが、清衡としては共倒れは御免です。渋い顔でなかなか返事を出せない清衡に、結有はついに必殺泣き落とし(笑)を発動させ、後に控える貴梨(坂本冬美)や菜香(鈴木京香)の同情を誘い、そんでもって母の泣き落としにはかなわん!と清衡もついにしぶしぶながらも助力の要請を受けいれるのでした。

結有に次いで家衡も家臣の千任(せんとう:織本順吉)を引き連れ、助力を請います。

「兄者、日頃は生意気ばかり申していますが、いざこのような時は兄者の助けなくてはどうにもなりません。兄者が味方についてくれるだけで手前は心強いのです。どうかともに立ってください!」

とこちらも泣き落とし(笑)。清衡が挙兵の事を告げると、家衡は喜色満面。してどのように攻めるか・・・という具体的な話になると家臣の千任が「清衡様には真衡様の養子2人を人質として捕えて頂きたい」と言ってきました。真衡の最終秘密兵器と言っても過言ではない夫婦2人を人質にして、大義名分を掲げて分のある真衡の勢いを挫こうというわけですが、うら若い青少年を人質に取るなんて非道な作戦に清衡も眉をひそめます。千任は後々面倒な事になった時罪を押し付けて言い逃れが出来るよう、あえて清衡にその嫌な役を頼んでいるのです。そういう損な役回りなんですが、清衡はなんとOKしてしまいます。あっさりOKした清衡を見て、家衡主従は喜ぶと同時に拍子抜けしたようです。清衡がいなくなると、家衡は先ほどのウルウルお目目をコロッと引っ込めて

『人が良いの・・・昔はもっと芯のあるお方だった。我慢を重ねるうちに己の道を見失ってしまったようじゃ。哀れなものよ・・・』

などとクソガキのくせに超上から目線で嘲るのでした。

さて、小馬鹿にされたお人よし清衡ですが、こちらもただのお人よしではありませんでした。夜、妻の貴梨が家衡が涙を流してお願いするシーンに感じ入ったことを告げると清衡は「空涙(そらなみだ、嘘泣きのことですね)は女だけのものではないぞ」なんて言うのです。思いがけない冷たい夫の言い草に「そんなこというなんて・・・貴方の口からそんな台詞聞きたくなかったです」となじる貴梨。「まぁ夫婦だからといってお互いのこと全部わかるわけじゃないしね」なんて言う清衡。このやり取りはなかなか興味深いです。人が良いだけの男と思われていた清衡ですが、この妙に冷めた言い回し。腹の内では色々考えてるんですね。なかなか侮れません。徳川家康のようです。でも家康よりかなりの男前ですので、私は全然気にしませんよ。正に「綺麗な花には棘がある」(笑)美形で腹黒なんて素敵じゃないですかlovelyブラック上等!もっとやれ!

所変わってこちらは真衡陣営。吉彦秀武の挙兵に真衡は「待ってましたぁああ!」とばかりにこちらも大喜びです。真衡としては自分が家督を継ぐ上で必ず家衡や親族の秀武が厄介な存在になることはわかっていますので、この際邪魔な存在は片付けてしまおうという魂胆なのでしょう。秀武への無礼な振る舞いも怒りを煽らせ、挙兵させるためのものでした。「喪中と触れを出したのに挙兵するなんてけしからん!成敗してくれる!」と8千の兵を率いて秀武の立て篭もる出羽山北郡に出陣しました。で、その間、弟の家衡が秀武と示し合わせ、留守を狙って胆沢の真衡館に攻め入り、養子夫婦2人を人質にすることも真衡はわかっておりました。養子夫婦の娘、岐己(高橋ひとみ)は源義家の妹です。義家は吉次一族の賄賂作戦が効いたのか(笑)めでたく陸奥守として多賀城に赴任することとなりました。可愛い妹が人質に捕られたとあっちゃぁお兄ちゃんだって黙っちゃいない、必ず真衡に味方してくれる。陸奥守という公権力の助力があれば、ますます大義名分は真衡側に重くなる・・・・真衡はこういうことまで見越した上で今回の作戦を立てていたんですね。なかなかの策士ですねぇ。敵ながらあっぱれです。

清衡は挙兵を決意すると電光石火の勢いで真衡館を急襲。おびえる成衡と岐己に対し、「危害を加える事は決して致しません」と誠実なお顔で説得、江刺の自分の館に丁重に迎え、応対します。そして2人以外の人質を家衡の館に送ります。家衡は肝心の夫婦が自分の元に送られてこない事に驚き、清衡の行動に警戒心を顕わにします。

「兄者・・・・一体何を考えている・・・・?」

清衡もただ家衡の言うとおりにして、割を食うつもりなんてさらさらありません。人質確保という損な役目も、自分の手許に置いておけばおいそれと攻撃される事はない、ピンチをチャンスに変える清衡の不屈の精神が光ります。

出羽山北郡にて秀武軍と対陣中の真衡もまた、予想通りの家衡軍の襲撃に膝を打ちます。しかし、館を襲ったのが家衡でなく清衡であったことには驚きを隠せませんでした。兄弟揃って攻め入ってくるか、あるいは清衡は真衡に味方し、静観するものと思っていたからでしょうか。

「清衡め、甘く見ておったわ・・・」

真衡は早速陣を引き払い、軍を一路多賀城に向けて進めます。狙いはもちろん、陸奥守源義家に協力を要請するためです。

100%自分たちに味方してくれるであろう、とたかをくくっていた真衡ですが、 「いや、協力は無理だわ」と義家にすげなく断られてしまいます。「え?どゆこと?意味わかんない??」と目が点になる真衡。義家曰く、今回の騒動は詰まるところ清原一族の身内同士の争い、「私闘」なので、その場合国家権力は介入してはいけないというルール。だから加勢は無理というわけなのです。「妹と仕事は別だから」と冷静な顔で言われてしまっては、グウの音も出ません。「とりあえず私闘かどうかを確認するために監察役を胆沢に送るから、その結果を待って考えるし」とのらりくらりと言われ、真衡はすごすごと引き返すしかありませんでした。

完全にアテが外れてしまった真衡は逆に不利になってしまいました。「なんとしてでも義家に内戦に介入させねばならない」とまたまた一計を案じます。後日、国府の監察使として義家の家臣2人が胆沢の真衡館を訪れます。しかし、なんとそこには女ばかりしかいない有様。男達は皆、戦に出払ってしまったとの事。と、そこへ家衡の軍勢がこの館に攻め寄せているという知らせが入ります。女達に取りすがられ、監視の家臣2人はやむなく手勢を引き連れ、合戦に参加することになってしまいました。そしてこれこそ正に真衡の狙っていたことなのです。真衡は何とか義家たち国府の軍を味方に引き入れるため、自分の館に女たちだけを残し、自分の軍勢を家衡軍と称して館を襲わせ、監察役の義家の家臣に応戦させることで、『国府軍が兄弟の争いに介入した』という事実をでっちあげようとしたのです。知らせを聞いた義家は多賀城で舌打ちをします。

「馬鹿め!これでは我らは清原一族の内紛に手を貸したことになるではないか!」

こうして好むと好まざるとに関わらず、義家は真衡の側に味方することになってしまいました。そして国府という公権力の後ろ盾を得た真衡は劣勢を挽回、清衡・家衡兄弟は逆に「賊軍」という窮地に陥ることになってしまったのです。

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第1部でも阿久利川の陰謀や、国府と和議を結ぶため、安倍一族が色々策を巡らすシーンがありましたが、『炎立つ』はこういう策略めいたエピソードが随所に挿入されてます。第1部の阿久利川陰謀篇では頼義が自作自演で安倍を窮地に立たせましたが、第2部でその息子義家が逆に真衡の自作自演に引っかかっちゃったというのは、なんとも因果なお話ですcoldsweats01でもこういう策略エピソードってワクワクしますね。

さて、第2部では清衡・家衡の母、結有の動向も見逃せません。

結有は『独眼竜政宗』のお東の方に続く困ったお母さん枠に入る強烈キャラです。見ている人の多くは「困った人!」「なんだこの母ちゃんは!」と怒りを顕わにするかもしれません。が、彼女の辿った人生を振り返ってみるとそうそう罵倒ばかりは出来ません。夫を殺した男の妻になる・・・・もし自分がそのような状況に置かれたとき、冷静に、そして誇り高くいられるでしょうか。たとえ凌辱の上に産まされた子であれ、腹を痛めた我が子を復讐のために殺す事が出来るでしょうか。私は花の独身貴族なんで親子の情については未だわかりかねるところもありますがcoldsweats01こういう極限状態に身を置いた時、自分が冷静な態度でいられる自信は全くありません。人間というものは「強く・賢い生き物」であるのと同時に「弱く・愚かな生き物」でもあるのです。視聴者はドラマの登場人物に憧れやこうあってほしいという希望を託すので、見苦しい振る舞いに時には嫌悪感を覚えるやもしれません。が、残念ながら大河ドラマはドラマでありながら、史実でもあるのです。史実の中に生きた人々は私達と同じ「時に賢く、時に愚かな生き物」です。だから視聴者の希望通りに、彼らが御伽噺のヒーロー・ヒロインが如くいつまでも美しい姿、正しい姿を見せてくれることは不可能だということに私達は気付かなくてはならないと思います。こうした理路整然とはいかない複雑な人間描写に、人間の本質が込められているのではないか思うんですよ。私は最近こういう人物が結構好きです。近くにいると面倒くさいですけど、遠巻きに見るとなかなか興味深い。

我が子のためならば母親は時に驚くほど強くもなり、時に驚くほど愚かにもなれる・・・・・清衡のために屈辱に耐え、敵将の妻になった強さも、家衡のために後先を考えずに清衡に助力を請う愚かさも、どちらも母親の姿であり、そこにはただただ我が子を救いたいという一点のみがあり、それだけを見れば結有に矛盾はないのです。しかしそこに矛盾が生じるのは他ならぬ敵同士の父を持つ兄弟ゆえの結果。母の情愛ではどうにもならない非情な血の宿命がこの母子の上には横たわっているのです。如何に結有が足掻こうとも、彼女の行動は所詮“付け焼刃”に過ぎず、兄弟はどの道争うことになり、それを考えると結有・清衡・家衡の3人の行く先は限りなく暗く、そこに待ち受けるものは“悲劇”以外の何ものもありはしないのです。

第1部では鈴木京香の美貌に押されがちだった古手川裕子さんですが、第2部では哀れで愚かな母親を熱演しております。特にその完璧な老けメイク(これがホントすごい!)には脱帽です。女優魂・役者魂とはこういうことを言うのでしょう。その心意気、信念は正に『漢』!仮にも役者って肩書き付けてんならやっぽこれくらいやんなきゃダメだよ若い諸君。

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